米EVメーカーテスラの株価が急騰し株価は3か月で3倍になり、時価総額は1400億ドル(15兆2000億円)となった。
このところテスラには良いニュースが続き、納車台数や新型車、中国工場の稼働などが期待感を増幅した。
テスラが今後どうなるかは分からないが、ドイツ勢は苦戦していると言われている。
メルセデス、ポルシェ、アウディ、VWなどは全車EV転換を打ち出しているが、今のところテスラの勢いは止まっていない。
欧州最大の自動車メーカーはVWだが、既にテスラは時価総額でVWを追い抜いている。
これは資金調達力でテスラがVWを上回るのを意味し、将来技術や新型車開発で有利になるかも知れない。
ダイムラー、VW、BMWは販売台数を維持しているがアメリカでのシェアが低く、利益率は減少している。
こうした従来の大きな自動車メーカーはガソリン車とEVとハイブリッド車を同時に開発している。
トヨタはガソリン、ハイブリッド、EV、PHV、そして水素自動車まで同時開発している。
テスラはEVだけ開発すれば良いのに比べて随分投資効率が悪く、この辺が株価の評価の差になっている。
ドイツ勢は全車EV化を掲げているものの、実際にはあと20年はガソリン車を併売しなくてはならない。
というのはEVのインフラがあるのは一部の先進国だけで、9割の国ではEVを買っても充電できない。
小が大を制してきた自動車の歴史
自動車産業の栄華盛衰にはある法則があり、必ず小型車メーカーが発展し大型車メーカーが食われてきた点です。
自動車生産国で最大メーカーは必ず小さい車を作ってきた会社で、ドイツはVW、イタリアはフィアットなどとなっている。
世界的にも小型車を得意とする日独メーカーが、大型車を得意とするアメリカビッグ3を倒し、現在の地位を築いた。
この理由は単純で小型車メーカーは大型車を作れるが、大型車メーカーは小型車を作れない。
大型車を作るには4気筒を6気筒にして車を長くすれば良いが、大きな車を小さくする事は出来ない。
工業技術とは「大きいものを小さくする」事なので、基本的に小さい車を作るメーカーの方が技術力が高い。
ドイツ勢はVWすらどんどん大型化してしまい、日本の基準で小型車と言えるものを作っていない。
ダイハツやスズキはVWみたいな車を作れるが、VWやポルシェは660㏄でまともに走る車を作れません。
小が大を制する法則からはトヨタも安泰ではなく、どんどん大型車、高級車指向になっている。
ドイツ車を見ると分かるように大きい車の方が利益が大きく成功するが、小さい車を作る技術力は逆に低下していきます。
高級車が売れる時代は良いが、大不況が到来すると大型車メーカーから倒産し、最も小さい車を作るメーカーが生き残る。
今はトヨタがダイハツやスズキを支配しているが、将来もそうだとは限らない。
高級大型車メーカーはやがて淘汰される
テスラは以前モデル3を発売するとき、小型車を大量生産して販売台数でトヨタを抜くと豪語していた。
だがモデル3は当初350万円の予定だったが、実際にはオプション込みで500万円以上で販売されている。
新型ピックアップのモデルYはもっと高価になる筈で、モデルXやモデルSは補助金なしだと1200万円する。
テスラのEVが航続距離などで優秀なのは値段が高く大きいからで、メルセデスと同じような高級大型メーカーになった。
このタイプのメーカーはロールスロイスのようにどんどん高級化し利益を増やすが、もう小型車を生産できなくなる。
小が大を食らう法則によってやがて巨大化しすぎた恐竜のような存在になり、天変地異で対応できなくなる。
メルセデスにアウディにVW、ジャガー、ロールスなど多くのメーカーが利益の大きい高級大型車に特化した。
その一方で日本の軽メーカーやフィアットは高級車バブルに乗り遅れ、今も小さな車を作っている。
高級車バブルが終わる時、小型車を作れるメーカーが生き残り、大型高級車しか作れないメーカーは倒産している。
それが自動車産業の歴史なので、2トンや3トンの車を作って儲けているメーカーもいつかは淘汰される。