中国発新型肺炎は他の国への拡大は防止できているが、中国では長期的な経済へのダメージが懸念されている。
ゴールドマン・サックスは中国の第1・四半期(3月まで)成長率予想をを5.6%から4%に引き下げた。
2019年の中国成長率は6%だったので最初の見通しの5.6%ですらかなり低いが、さらに引き下げています。
中国政府による成長率目標は実際には目標では無く共産主義の経済計画で、ノルマと言った方が良い。
19年目標は6.0から6.5%だったので、中央政府や地方政府はこのノルマ達成のためにいくら支出すべきかを決める。
日本の財務省のように財政状態をチェックする機関が中国には無いので、予算は調達できる限り無限です。
例年なら前年の12月に目標が決定され、3月の全人代(20年は3月5日)で公表される。
新型ウイルスの拡大が3月まで続いていれば、全人代の延期や開催されても目標発表を先送りするかも知れません。
中国経済は去年後半から減速し、今年に入ってさらに減速しているので、6%ですら達成不可能な目標です。
現実路線で5.5%以上などに設定し、例え達成できなくても例年通り「達成した」と虚偽の発表をするでしょう。
中国が発表する経済指標はどれも信憑性がないが、中国の石油国内消費が20%減少し備蓄在庫が急増している。
これは外国から輸入するので誤魔化せず、経済活動が2割減少したのを示しています。
中国の経済活動は2割減
生産や輸送を伴う物理的な経済活動は石油消費量に比例している筈なので、実体経済が前年より2割減というのが実態でしょう。
ウイルス発生源の武漢や湖南省など約6000万人が移動制限を受けていて、商店もほとんど閉まっている。
武漢市などでは外出禁令が出されていてウイルス関連や許可された以外の就業も禁止、買い物は2日に1度家族で1人に制限されている。
まるで文化大革命時に戻ったような状況なので、これらの地域では2割どころか半減以下になったかも知れません。
武漢では許可を得ていない自動車の走行が禁止され、市外から輸送トラックも進入できない。
日用品や食料やあらゆる物資は軍や政府が統制し、スーパーマーケットや市場に搬送している。
共産主義の本領発揮というところで、共産主義が始まった当時のソ連もこうした状況だった。
中国の混乱に対して、世界市場への影響は限定的で、2月5日には米S&Pが史上最高値を更新した。
中国以外で感染が拡大していない事や、中国が20兆円規模の資金供給を行ったのが好感された。
新型ウイルスのワクチンが開発されたという噂も流れたが、これはWHOが真偽不明として打ち消した。
治療薬開発のため2月11日に100人以上の専門家が会議を開くのが決まり、「特効薬」がすぐに出来るような期待も膨らんだ。
一方アメリカではインフルエンザが大流行し、2月5日時点で1900万人が感染し1万人が死亡している(米疾病対策センター(CDC))
1月25日までの1週間でインフルエンザ患者数は400万人増え1900万人になり、18万人が入院した。
インフルエンザ大流行があった18年は感染者数は4500万人、死者数は6万1000人だったので、さらなる拡大が懸念される。
アメリカでもインフルエンザ大流行
中国はこれを格好の材料とし「アメリカのインフルエンザの方がずっと酷い」とアメリカを非難している。
アメリカのインフルエンザは例年2月にピークとなり5月まで影響が続くので、中国の新型ウイルスも3月や4月まで続くでしょう。
2月7日時点で中国での新型ウイルス感染者は2447人増え2万2112人、死者は618人だった。
感染者数の増加ペースは毎日20%以上だったのが10%近くに下がったが、本当の感染者数は10倍以上という説が有力です。
日本での感染者数は6日深夜時点で45人で重傷者はなし、チャーター機の帰国者とクルーズ船が18人を占めている。
そのクルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス)では7日、感染者が41人増えて計61人になったと発表された。
集計時刻や外国船を含めるかが違うので、それぞれの集計数は一致せず、全て合計すると7日朝時点の国内感染者数は86人となった。
クルーズ船には3700人が乗船していたので船内の感染率は約1.7%になる(香港で下船した1人を含む)
これはチャーター機で帰国した565人中8人の感染率1.4%よりも高い。
チャーター機では2月7日にも約200人が帰国する予定で、おそらく2%の4人以上は感染者が含まれているでしょう。
武漢から帰国した日本人や感染者が乗船した船の感染率がいずれも1.5%程度なので、武漢市内の感染者数も人口の1.5%と考えるのが妥当です。
武漢と周辺地域の人口は約1400万人だが封鎖前後に脱走して1000万人になったとして15万人、湖北省全体では20万人でしょう。