ソフトバンクグループについて悪い評価と良い評価が交錯し、今後の業績にも見方が分かれている。
ソフトバンクGの10兆円ファンド「ビジョンファンド」は第2弾の出資を募集しているが、思うように集まっていない。
第一弾の10兆円ファンドは2017年の立ち上げ、3年で使い切ったと言われている。
第一弾ファンドの運用状況は不明で、含み益を資産に含めて発表するなど実態を隠そうとする隠蔽工作も指摘されている。
第二弾は12兆円を募集したが、今までに応募したのはソフトバンクグループ(380億ドル)のみとなっている。
サウジアラビア政府ファンドは第一弾ファンドの最大出資者だったが、第二弾には参加しないと表明している。
ビジョンファンド1は2019年7-9月期に9703億円の営業赤字を計上、前年同期は3925億円の黒字だった。
投資先88銘柄のうちウーバーやウィーワークなど25銘柄の株価評価額が下落し評価損が響いた。
ソフトバンクGはウィーワークに約1兆円の金融支援をしたが上場延期となり、ウーバーやスラック・テクノロジーズでも損失となった。
ソフトバンクの投資事業への評価は低下し、企業価値を判断できない素人と欧米で酷評された。
ビジョンファンド1で投資した企業が最近相次いで事業縮小したり、従業員を解雇したり経営者が交代している。
不動産事業やカーシェアリング、ピザ宅配、ホテル、配車サービスなど投資先には何の脈絡もなく、ソフトバンクは事業への知識も持っていなかった。
ソフトバンクから離れていく大口投資家
孫正義は「一目見て惚れた」「フォースを感じた」「10分話しただけで数百億円投資した」のような話をしたがる。
それで投資家を驚かせて「さすがは孫さんだ」と言われると鼻高々で、集まった株主らに神々しく話しかける。
孫氏を信じる株主はそれで恐れ入るのだが、信者でない人から見ると気持ちが悪い宗教団体に過ぎない。
ビジョン・ファンド1は2019年9月末時点で、88社に707億ドル(約7兆7,900億円)を投資した。
ソフトバンクはこれら企業に776億ドル(約8兆5,500億円)の価値があると説明したが、実態は不透明です。
孫正義は独自の計算方法で企業価値を大きく見せているが、それが逆に投資家の不信感を生んでいる。
ビジョン・ファンド1はスタートアップ企業に法外な投資を行い、ソフトバンクが投資する事で株価を釣り上げた。
つまり本来10億円だった企業にソフトバンクが100億円を投じれば価値が100億円以上になり、上場すれば巨額の利益を得られる。
ソフトバンクの投資事業とは価値のないスタートアップ企業に投資して株価を釣り上げ、株式公開して利益を上げるビジネスモデルだった。
このため投資先企業の評価額が下落したり株式公開に失敗すると、ウーバーやウィーワークのように失敗する。
孫正義は長期的な投資のように言っているが、実際には超短期で株価を釣り上げて「売り抜ける」投資をしている。
ビジョンファンド第二弾は実現しないだろうという見方が増え、それどころか第一弾ファンドの存続も危うい。
第一弾に投資したサウジ政府などがビジョンファンドに反発し投資した資金を引き揚げないとも限らない。
実際第一弾に投資した大口投資家は、「充分な利益を上げていない」として一社も第二弾に参加していない。
錬金術師孫正義は手品の種が尽きて退場するのか、それとも再び世界を驚かせる何かをやるのだろうか?