本当に転職で収入が増えたのは3人に1人
日本でも転職はあたりまえになったが、転職して収入が上がった人は意外に少なかったという調査です。
厚生労働省の「転職入職者の賃金変動状況(平成30年)」では転職で収入を上げる難しさが浮き彫りになっている。
この中では転職後に収入が増えたのは40%、トントンが30%、下がった人も30%居ました。(2019年)
しかも収入が増えた4割のうち、20歳以下はほとんどが収入増、25歳まで「増加」が「減少」より2割も多い。
この比率は25歳から44歳まで約10%ほど「増加」が多いが、45歳以上は「減少」の方が多くなります。
60歳以上で転職した人は「減少」が「増加」より40%以上も多くなり、大半の転職者は収入減少しています。
これを見ると転職後に収入増になった若者の大半は、単に年齢や経験が増えたので収入が上がっただけかも知れません。
20歳以下の人は転職せず同じ会社に留まっても収入は上がったはずなので、実態は4割より少ないと見るべきです。
単に転職後に年齢や経験値が増えたから給料も増えたの差し引くと、本当に転職で収入増になったのは33%、3人に1人程度でしょう。
逆に45歳以上では転職で収入減になる人が増加する人より多いのも、年齢による衰えで減少していると考えられます。
この人たちもやはり、転職せず同じ会社にとどまったとしても会社から給料減を言い渡された可能性が高い。
そもそも転職した動機も年齢による給料カットや配置転換、降格などに不満を持ったからかも知れません。
給与アップや昇進のために転職すると後悔する
このように転職そのもので給料が上がったと言う人は3人に1人程度で、しかも転職しなかった場合と比べられないので本当はどうか分からない。
一方転職した後の満足度では約53%が満足していると回答していました。(2016年)
満足度が高かった(50%以上)項目は仕事内容(69%)や通勤(65%)、人間関係(59%)、休日・労働時間(56%)、会社の規模、福利厚生などでした。
満足度が低かった(50%未満)だった項目は賃金(45%)、役職(30%)で特に役職への不満が大きい。
これを見ると転職後に前の会社より出世した人はほとんどおらず、給与面でもすぐに上がった人は少ないようです。
仕事内容の不満や通勤の便や人間関係の悪さ、休日や労働時間への不満で転職した人は、新しい会社でかなり満足している。
こうした調査は当たり前の事ですが、転職紹介企業の調査では良い数字に脚色されています。
「転職した人の多くが収入が増えなかった」では誰も転職しなくなるので、逆に「転職者の多くは収入が増えた」等と書きます。
なのでこの場合は民間調査より公的機関の調査の方が、信憑性が高いと考えます。
傾向として20代の若い人はいくらでも転職先があり、転職後に経験を積んで昇給や昇進も可能です。
45歳を境に転職は困難になり、前の職場より多い収入を期待すると、ほとんど転職先は見つからないでしょう。
広告で多い50代以上で役職だった人が転職して収入が増えるような話は、ほとんどフィクションだと思います。