2019年から自動車業界に変化が見えていたが、2020年は中国ウイルス騒動で勝ち負けがはっきりしている。
まず負け組筆頭はルノーと日産でどちらも2019年の販売台数は大幅減で、通年で営業赤字を計上した。
ゴーン時代にルノーと日産は車体やエンジンを共同開発していたが、最近は行われていないという話も聞きます。
ルノーは仏マクロン大統領と組んで日産乗っ取りを企み、反発した日産側が東京地検にゴーン逮捕を仕掛けたと言われている。
日産はルノーから離脱をもくろんだがあまりの業績低迷で難しくなり、ルノーも苦しんでいる。
ルノーは資金繰りが苦しくなり保有する日産株売却を検討していると報じられ、買い手候補に上がっているのがホンダです。
ホンダと日産の年間販売台数はほぼ同じで、ホンダも日産ほどではないが業績が低迷している。
ホンダは他社とグループを形成していないが、EVなど新技術では多額のコストが必要になり、他社と協力せざるを得ない。
ホンダが組む相手は小さすぎては助けにならず、大きすぎれば他社に支配されてしまう。
ホンダの同じ規模の日産はもっともふさわしい同盟相手なので、ホンダが既に日産株取得に動いているという噂がある。
2019年の自動車販売台数1位はVW、2位はトヨタだったがVWは数字以上に苦戦している。
VWは全車EV転換を発表したが、今のところヒット車種はなくテスラや中国メーカーの後塵を拝している。
絶好調テスラ
VWグループ、メルセデス、BMWのドイツ車は転換期を迎えてどこも苦戦している。
これはドイツ自動車産業の問題があり、今まで10年ほど高級車ブームで大儲けしてきました。
ドイツが得意とするのは鉄板をプレスするような重厚長大産業で、ドイツのIT企業は活発ではない。
排ガス不正騒動の結果ドイツ車は全車EV転換を打ち出したが、ドイツで生産するものは殆どない。
EVのモーターは日本製、バッテリーは日中韓、センサーやカメラは日本製という具合です。
高級車ブームによってレクサスなど外国勢がドイツ車の牙城に食い込み、もはや高級車=ドイツ車ではなくなった。
象徴的な出来事は新興EVメーカーのテスラがVWの時価総額を上回った事で、トヨタに次ぐ自動車メーカー2位になった。
ほとんどのメーカーが2019年に販売台数を減らしたが、唯一テスラだけが大幅販売増を続けている。
と言っても19年のテスラの販売台数は36万7500台に過ぎず、トヨタやVWら1000万台勢の背中から1キロは離されている。
トヨタは高コスト体質になった
テスラは19年に過去最高の生産台数を記録したほか、新型車モデルYやトラックを発表し、20年に中国での生産も開始した。
株価については過大評価という声があるが、株価が上がると資金調達が楽になり、設備や技術や新型車開発に投資できる。
テスラは今までメルセデス以上に高級車に偏っていて、高い車が売れる事が強みだった。
年間100万台を超えても成長を続けられるか、高級車に慣れたメーカーが低価格車を販売できるのかが注目される。
歴史を振り返ると小型車を作るメーカーが大型高級車メーカーを倒しており、高級車から始めて大メーカーになった例が少ない。
トヨタは一見盤石に見えるが弱みを抱えており、リードしているといわれる技術そのものが負担になっている。
ハイブリッドにEVにガソリンに水素とすべての技術にまんべんなく投資しているが、将来主流になるのは一つなので3つは無駄になる。
トヨタが成功したレクサスの高級路線はバブル期には利益を最大化するが、経済危機では足を引っ張るでしょう。
一度高級車にあぐらをかいたメーカーは、もう2度と格安小型車に戻れず、衰退するのが自動車の歴史です。