中国のすき家は吉野家の半額で急速に店舗数を増やしている

牛丼御三家の海外出店は松屋のひとり負け
牛丼御三家は海外進出を活発に行っていたが、明暗がはっきりわかれる結果になりました。
松屋は中国、米国、台湾に13店舗展開していたが、2019年6月にモスクワ1号店を開店し大きく報道された。
だがモスクワ店は19年12月末にわずか半年で閉店し、ロシア進出は大失敗に終わった。
モスクワ店は牛丼並が540円とかなり高価で、ロシアの平均収入が日本の半分以下なのを考えると成功する筈がなかった。
開店時の目標は5年で30店舗を整備し売上高30億円と言っていたが、甘すぎる計画だったようだ.
反対に大成功したのは「すき家」で、2008年上海に初出店し現在は400店に達しているとみられる。
すき家は他にも中国、ブラジル、タイ、マレーシア、アメリカなどに200店舗前後を展開している。
海外出店は吉野家のほうが早く、中国にもすでに700店舗近く出店していて知名度も高い。
吉野家は国内約1200店にたいし海外約900店で、東南アジア、中国、北米などで多い。
海外900店の吉野家、500店以上のすき家にたいして松屋の10店舗程度はいかにも寂しい。
新たな出店先がロシアだったのもピントがずれすぎている印象で、海外展開が苦手なのかも知れない。
一方で松屋は日本国内の事業は非常にうまく行っていました。
伝統の吉野家と進取のすき家、松屋
松屋フーズの2019年10月から12月四半期決算は売上高795億9900万円(8.7%増)、営業利益60.1%増など絶好調でした。
松屋フーズの国内店は牛めし業態962店、とんかつ業態196店と想像以上にとんかつ店が多い。
松屋のとんかつ店は「松の家」などの店名で知られ、カツ丼並が500円の格安なのに美味しいと評判です。
牛丼店ではハンバーグやカレーを中心に新メニューを積極展開し、値上げ後も売り上げを伸ばした。
吉野家も定食やうな重、鍋御膳など新メニューを増やしているが、松屋やすき家ほど受け入れられていない気がする。
券売機の松屋や電子マネーなど支払方法が豊富なすき家にくらべ、吉野家は現金中心で古臭い印象を受ける。
古臭さはメニューを見ても何となく感じられ、無難ではあるが吉野家にしかないメニューは特にない。
吉野家は先に中国展開したのに最近はすき家に押しまくられているが、古い習慣を変えようとしない。
例えば中国の吉野家は31元(約490円)ですき家は15元(約240円)、内容が日本と同じだとしたら吉野家で食べる人はいない。
吉野家は牛丼を高級な食事と位置付けて中国に進出し、このコンセプトは成功して今日の地位を築いた。
だがすき家は吉野家の半額で「大衆食」として勝負を挑んだのに、吉野家は応戦せず依然と同じ高級食を続けている。
このパターンは2000年代の日本国内で展開された牛丼戦争と同じで、勝負を挑んだすき家、松屋に吉野家は反応せずシェアを落とした。
すき家、松屋が券売機や電子マネーを導入しても、吉野家は「お客様との触れ合い」と訳の分からない事を言って何一つ改善しなかった。
この分では海外展開でもすき家に負けるのは時間の問題かも知れません。