国内メーカーすべて赤字転落
新型ウイルスが先進国や主要国を中心に広まったことで世界の自動車メーカーが打撃を受けている。
アメリカとカナダの北米と欧州の全ての工場、中国のほとんどの工場は停止か最低限の稼働に留まっている。
同時に自動車の購入者である消費者は外出制限や都市封鎖状態にあり、日用品の買い溜めに走っている。
お金があったとしてもとても自動車を買う状況ではなく、都市封鎖や外出制限や自粛で失業した人が多い。
アメリカの民間調査では3月後半で実質失業者が全労働者の25%に達し、欧州も同様でしょう。
きのうまで5%前後だった失業率が今日は10%から20%以上になったので、自動車を買うはずがありません。
頼みの富裕層は株価暴落で大打撃を受け、すでに破産してミリオネアから無一文になった人もいる。
かなりのメーカーが倒産か身売りになるのは確実だが、持ちこたえそうなメーカーと明日にでも倒れそうなメーカーがある。
まだ余裕がありそうなのはトヨタで、自社の金融部門が大きいため現金10兆円くらいはすぐに用意できると言われている。
国内ではコロナ騒動前から赤字だった日産は厳しく、ホンダも4輪部門が去年から赤字になっていました。
もともと経営が脆弱だったマツダ、三菱、いすゞ、アメリカ依存度が高いスバルも厳しい。
スズキ、ダイハツの軽メーカーも厳しいが、懐が寂しくなった消費者はより軽自動車に集中するので日産ほどは減少しないでしょう。
中国は国が救済するが、米ビッグ3は再倒産の可能性
新型ウイルスは中国、アメリカ、欧州で猛威を振るったのでこれらの国の自動車メーカーも厳しい。
ただ中国はもともと公用車など公的機関の購入が過半数を占めていたので、国の金で買い上げると思われます。
中国の大企業の8割は共産党や政府の支配下にあり、社用車というのは実質的に公用車と同じです。
中国のタクシーやバスも国営や公営なので、自動車産業支援のために思い切った買い支えをする筈です。
アメリカは自由主義なのでそんな訳にいかず、米ビッグ3の利益の多くは巨大なピックアップトラックから出ていました。
労働者の25%が失業して金食い虫のピックアップが売れるとは思えず、数年間はほとんど売れなくなるでしょう。
労働者は通勤に使う実用的で安く故障しない車を求めるので、小型で燃費が良い車が売れる。
好景気では「ださい」とされていたスズキの安い車なんかが案外人気が出るのかも知れません。
またまた日本製小型車が売れてトランプが激怒して、日米自動車摩擦が再燃するかも知れません。
ドイツ勢はオールEV化を進めているが打撃を受けるのは必至で、コロナ後に消費者がどう変わるか読めない。
「EVより安いアルトが良い」などと言うかも知れず、消費者自身が変わったら戦略が無意味になる
スーパーカーメーカーが苦境
欧州も問題でスーパーカーのフェラーリはイタリア工場を閉鎖したが、トヨタと違いこの手のメーカーは一つしか工場がない。
つまりフェラーリやランボルギーニの全世界の工場がすべて止まったという事で、事実上企業活動を停止している。
スーパーカーの顧客だったにわか成金や大富豪は金融資産暴落で大損しているはずで、売り上げどころかキャンセルが出る。
ロールス・ロイスやマクラーレンなどこの手の少数超高級車メーカーは、年間の販売数が数十台減るだけで打撃を受ける。
打撃を受けているのはレース界も同様で、F1やバイクやラリーなど今年はすべて中止になる可能性が高い。
例えばバイクレースのMotoGPは中止になっているため、スポンサーからチームへの支払いが行われていない。
こうしたレースはレースが開催され出走する事でスポンサーがお金を支払う契約になっている。
メーカー直属のワークスチームはメーカーの支援があるが、トップクラスでない弱小チームはスタッフの給料すら払えなくなるでしょう。
レーサーはチームと契約しているので、チームに支払い能力がなければ報酬を受け取れない可能性が高い。
レースで宣伝しても自動車や商品が売れそうもなければ、スポンサーの撤退や契約解除が相次ぐでしょう。
こうしてレース界は突然の氷河期に見舞われて70年代オイルショックのようになろうとしている。
スーパーカーメーカーはレース界と関係が深く、レース衰退と販売急減でダブルパンチを受ける。