
逃げ水のように日経から遠ざかるダウ
日米経済のどちらが強いかを図る指標に日経とダウがあり、その数字のどちらが上か注目されてきた。
2020年6月に日経平均は2万2000円、ダウ平均は2万7000ドル、方や円で方やドルなので実は最初から意味を持たない。
それでもアメリカ経済が強い時はダウが上になり、日本経済が強い時は日経の数字が上になってきた。
数字そのものに意味はなくとも今まで下だったものが上になるインパクトは大きい。
1878年(明治11年)、この頃アメリカはS&Pが86.98ドル、日本株の平均は3円程度とアメリカが上だった。
日本は日清日ロ戦争に勝利し第一大戦を経た1918年(大正7年)ごろ、日本株平均は80円程度に上昇し、S&P500は10ドル程度と最初の逆転が起きた。
敗戦時も日本株30円、S&P20ドル台と日本上位でこの関係はバブル崩壊まで続きました。
1989年のバブル絶頂期にダウは2753ドル、日経3万8915円と日米格差が最大になり日本の絶頂期だった。
バブル崩壊と阪神大震災、アジア通貨危機を経て2002年2月に、ダウと日経平均は「9791」で交差した。
この日ウォール街はお祭り騒ぎで「アメリカは日本に勝った」と祝杯をあげたと言われている。
この後日経とダウは何度も交差したが、2008年のリーマンショック以降はダウが上で固定している。
2015年のチャイナショックで一時的に日経が上になったが、現在は日経2万2000、ダウ2万7000となっています。
沈まない太陽はまた昇るか
最初に書いたようにダウはドルで日経は円なので意味はないが、当事者としては「どちらが上か」に大変な意味がある。
芸能界では女優がスタジオ入りする順番が格付けになり、一番後で入った女優が偉いそうですが、はたから見るとどうでも良い話でしょう。
安倍政権下のアベノミクスで日本経済は成長したかに見えたが、アメリカを基準にすると民主政権下とあまり変わっていない。
安倍首相の経済運営は円安にして輸出と観光で稼ぐもので、日本が成長してもドル円レート込みでは縮小しています。
民主政権はで1ドル80円だったのが安倍政権では100円から120円なので、経済成長分は打ち消されてしまっている。
貿易など外需に依存する経済運営は後進国がやるもので、先進国は内需つまり消費拡大で成長しなくてはならない。
ところが安倍政権下で2回消費増税し、消費拡大どころか大幅な消費縮小を起こしてきた。
もし2度の増税をしなければ日本の経済成長率はもっと高くもっと税収も多かった筈だと思います。
増税をしなければ今頃は日経がダウを抜いていた可能性が高く、そうなれば社会の雰囲気ががらりと変わったでしょう。
日経がドルより高かった時代日本人は自信満々で、自らを「無敵国家」だと思っていました。
アメリカ人もそう思っていて「ジャパンアズナンバーワン」という本がベストセラーになったり、日本を沈まない太陽と呼んでいました。
たかが数字に過ぎないが人々の意識に大きな影響を与えるので、迷信であっても効果はある事になる。