今度はワイヤーカード
ソフトバンクグループ(以下SBG)が投資した企業は次々に経営不振に陥っているが、リストに1社加えられた。
新しい不良資産はドイツのIT企業ワイヤーカードで、新興決済サービス企業だった。
監査法人E&Yは、ワイヤーカードが約19億ユーロの粉飾決算をしていたと指摘した。
最初から存在すらしてなかった19億ユーロを持っているかのように装い、優良企業に見せかけていた。
世界はこの10年間好景気だったが、好景気ではあらゆる企業が優良に見え、株価は大きく値上がりする。
日本のバブル経済ではすべての日本企業が優良企業だったが、バブルが弾けて5年後に大半がくそ企業と判明した。
現在の世界もそのようなもので、全世界好景気の元ではどんな企業も優良企業に見えた。
ソフトバンクの孫正義は千里眼で有名で、相手を一目みただけで投資価値を見抜き巨額投資をしてきた。
自分には眼力があるとかフォースを感じたと言っていたが、要するに全世界好景気だったので何に投資しても成功した。
バブルでは猿がサイコロを投げても成功する
孫正義ではなく猿がサイコロを投げても同じ結果になった筈で、バブル期の日本にもそうした投資の天才がゴロゴロいた。
孫正義が千里眼で投資した企業の大半が経営難になっているが、それも全世界好景気で好調だったが、不況になって真の姿を現したといえる。
Wバフェットは「プールの水を抜けばどんな格好か分かる」と言うのが好きだったが、2020年にプールの水は抜かれた。
バフェットにも劣らぬ投資ファンドを率いるジム・チャノスは、強気相場が詐欺を隠すとたとえている。
IT相場のような圧倒的強気相場の前に、どんな懐疑派も考えることを辞めてしまい楽観論に転じる。
強気相場の中にはアップルやグーグルのようなダイヤモンドもあるが、石ころや馬糞も混ざっている。
強気相場が長く続くと人々は石ころをダイヤの原石だと言っても信じるようになり、スーパーバブルを形成する。
ジム・チャノスによると最近過大評価されているのはテスラや中国で、コロナによって化けの皮が剥がれるのかも知れない。
SBGは強気相場で過大評価されていた新興企業を次々に買収し、さらに株価を吊り上げた。
企業の本来価値を見抜いて割安な株を買うという投資の王道からはほど遠く、孫正義の投資は失敗に終わる可能性が高い。