つい最近、日本ではソニー、キヤノン、オリンパス以外のカメラメーカーは撤退か経営破綻すると書いたばかりでした。
往々にして何かを断言すると逆の事が起きるが、3強の一角だったオリンパスが撤退した。
買収したのは国内投資ファンドJIPで、みずほグループ、NTTデータが株式を保有するが株式の7割は役職員が保有している。
ソニーのパソコン事業とNECビッグローブの独立を成功させた実績があり、ソニーVAIOは大きな話題になった。
当時パソコンはスマホに押され斜陽産業で、国内家電メーカーが次々に撤退したり閉鎖、売却していた。
VAIOは当時、ソニーが手放すような事業が成功する筈がないと酷評されたが実際にはどうなったのだろうか?
VAIOは2014年7月にソニーから独立し、初年度は赤字だったが、2期目から5期連続の黒字化を達成しています。
営業利益率は2018年に3%、売上高に占める原価は85%と厳しい中でも黒字経営を続けている。
ソニーで赤字だった理由は会社そのものが大きく、社員の給料も高くあらゆる面で高コストだったからのようです。
JIPは一般的な投資ファンドが多くの案件を手掛けるのに対し、投資対象を少数に絞り込むので知られている。
よほど再建に自信がなければ投資しないという姿勢なので、オリンパス再建にもかなりの自信があるのでしょう。
まして現在はコロナ禍の最中なので、割安に買えたとは言ってもカメラは売れていない。
カメラメーカーのプライドが経営の障害
日本のカメラメーカーの売り上げは全世界で半減しており、しかも10年ほど前から長期縮小傾向にある。
JIPはカメラにどんな勝算があるのかですが、実は『カメラ』全体の販売は全世界で急増しています。
GOPROのようなハンディカムやアクションカメラ、防犯カメラなど監視カメラ、自動運転車や衝突防止装置など車載カメラ、さらにドラレコなどもある。
『カメラ』全体では爆売れと言っていい状態なのに、日本の『カメラメーカー』のカメラだけが売れていない。
これはカメラの問題ではなく企業経営の問題で、売れるカメラを作れば必ず売れる筈です。
JIPに売却するOM-D、PEN、ZUIKOレンズ、ICレコーダーなどのオリンパス映像製品を漫然と売り続けても売れないでしょう。
コストダウンと言っても技術や商品開発に投資しなくてはいけないので、大幅に削ることはできない。
ここは目のつけどころを変えてみると、カメラは売れていないがカメラを搭載したスマホは年15億台も売れている。
ドラレコも車載センサーも監視カメラも売れまくっているので、違う『カメラ』を作ればいい。
おそらくそうした戦略でオリンパス黒字化は可能ではないでしょうか
「我々は伝統あるカメラメーカーなんだ」というプライドがあり、一眼レフ至上主義のような風土があって邪魔をしていたのでしょう。