東京五輪を辞めると日本人の収入が減る
2014年ごろ老朽化した国立競技場を建て替える費用が3088億円と見積もられ、高額だと非難の嵐が起きました。
ザハ・ハディドのデザインが最悪だったのもあり、計画見直しを求める世論が高まった。
その後計画は2520億円に費用削減されたが批判は収まらず、ザハ案を廃棄し新デザインになり費用は1530億円で決着した。
それから5年を経てコロナによって東京五輪そのものの開催が危ぶまれ、東京五輪中止を公約にした都知事候補が表れている。
山本太郎や共産党候補は五輪中止を公約にし、小池現東京都知事は「知事に中止する権限が無い」と反論している。
この人たちの頭から抜け落ちているのは、お金を使うのを辞めたら日本人の収入が少なくなるという事です。
2021年に東京五輪を開催すると政府と都は追加で約6400億円の支出を迫られると試算されている。
一方中止すればこの6400億円は払わずに済み、一見すると日本人が得をするように思えます。
1980年代からずっと日本の選挙では「予算を減らせば〇〇兆円が浮くからその分を福祉に回せる」という候補者が当選してきた。
公共事業を減らして福祉に回すと超赤字財政になる
特に槍玉に挙げられたのが公共事業と防衛費で、この2つをやめた10兆円を福祉に回せば福祉大国になるという主張が今でも多い。
だが90年代の公共事業削減、続く防衛費削減がもたらしたのは日本国の貧困化で、日本人は先進国でもっとも貧しくなりました。
ここで考えたいのは家計支出と国の支出の違いで、家計支出ならお父さんの小遣いを月3万円減らせば年間36万円が余ります。
だが国という単位では通貨の発行や経済運営を国が行っているので、国の支出を10兆円減らすと日本人の年収が10兆円減ります。
国民総生産GDPは生産額の合計ですが、支出額の合計でも分配(所得)額の合計でも同じ金額になります。
政府が支出を10兆円減らすと国民の所得が10兆円減り、日本のGDPが10兆円減って税収も5兆円ぐらい少なくなる筈です。
公共事業を減らしてその分福祉を支出しても、福祉事業で金を受け取る人のほとんどは税金を払っていません。
医療機関や福祉機関は「福祉だから」という理由で税制で優遇されていて、福祉を受ける高齢者や主婦や子供はほとんど納税していません。
一方公共事業で金を受け取る建設会社や下請けや孫請けや労働者は全員が納税している優良納税者です。
こうして『財政派』と呼ばれる人が国の支出を減らした結果、日本は30年間マイナス成長を続けています