最近のニュースでテントの輸入量が過去最高となり、空前のキャンプブームを裏付けているというのがありました。
「ゆるキャン」でキャンプ女子が増え、田舎のキャンプ場は休日は予約で満員の場合もある。
何度かのアウトドアブームでキャンプ場が整備され、何も持たずにキャンプを楽しめる施設も増えた。
一泊数千円と料金はビジネスホテル並みだが、シャワーや温泉、食材まで用意するキャンプ場もある。
自前で全て用意する格安キャンプ場もあり、数百円と格安だがせいぜい水場とトイレがあるだけの施設もある。
格安キャンプ場は村営など公営施設に多く、本気度が低いのかあまり力が入っていない。
大阪税関の2019年テント輸入量は前年比28%増の約1万トンで過去最高、輸入額も同36%増の約118億円で過去最高だった。
さて今回の話題はキャンプではなく、輸入も輸出と同じように経済に貢献しGDPを増大させているという現実についてです。
日本では「輸出は経済にプラスだが輸入はマイナス」、輸入するとGDPが減るので国産化したほうが良いと考える人が多い。
政治家や官僚、経済評論家やテレビタレントまでこう思っている人が多く、宗教か信仰の域にまで達している。
学校の教科書や経済本にも「輸入はマイナス」と書いてあり、その出どころはどうも旧通産省や大蔵省の資料らしい
GDP(国民総生産)の統計を取るのに国内生産を合計し、その後輸出を足して輸入を引くと合計が出ます。
GDPをめぐる迷信
だがら「輸出はGDPにプラス、輸入はマイナス」と言うのだがこれは計算上の方程式に過ぎません。
本当に輸入がGDPを減らすなら世界最大の貿易赤字のアメリカは、アフリカ並みの貧困国家になっている筈です。
現実の世界では経済上位で貿易黒字なのは中国、日本、ドイツ、加えて韓国くらいです。
他のサミット参加国や経済上位国はすべて貿易赤字だが、誰も困っていません。
むしろ貿易赤字国の方が日本より生活水準が高く、良い家に住んで良い生活をしています。
輸出は例えば国内工場でテントを生産して1個2万円などで輸出するが、実際に製造しているのは中国やアジアの新興国です。
テントなどの商品は先進国で製造すると高コストなので、1日1000円以下の賃金の国で製造しています。
もしテントの輸入を禁止してすべて国産化したら、日本人は一日数百円の給料でテントを製造しなくてはならなくなる。
戦時中の日本が正にこれで、輸入がストップしたので女学生まで動員してテントやパラシュートを作らせた。
一方輸入でGDPが本当に減るのかですが、輸入品は輸入価格の2倍から10倍もの値段で販売されています。
テントにしたって輸入原価は販売価格の半分程度の筈で、販売後はキャンプやレジャーで使用されGDPを生み出します。
例えば牛丼に100gの輸入牛肉が入っているとすると、輸入原価はせいぜい牛丼の価格の10%程度です。
牛肉の輸入価格が50円で牛丼が500円なら、100gの牛肉は国内で10倍もの付加価値を生み出しています。
このように輸入したものはGDPから差し引いた何倍ものGDPを国内で生み出すから、むしろ輸出よりGDPに貢献しています。
だから世界最大貿易赤字のアメリカはどんどん豊かになり、世界最大貿易黒字を誇っても、生活はどんどん貧しくなるのです。
輸出国の人は安いテントを製造するために一日数百円の給料で働き、アメリカ人はそのテントで自然公園に出かけてバーベキューで遊んでいます。
一見輸出国のGDPが増えてアメリカは減っているようですが、実はバーベキューで遊んでいるアメリカ人のほうがずっとGDPを増やしています。
一日1000円で働くより、一日1万円を浪費した方がその国のGDPは増えるからです。