日産は再び独立したいのか?
コロナ流行が世界に広がる前の2020年初めごろ、ルノーと日産の対立が激化し独立が噂されていました。
ここで日産の立場を整理するとルノーは日産株の43%を保有し、日産は議決権なしのルノー株15%しか持っていない。
ルノーが日産株を15%ほど手放すか、日産がルノー株の10%を追加取得するとルノーの日産への支配力は大幅に弱まる。
20年1月末の段階ではルノーは日産株の43%を保有し時価総額2.6兆円なので、ルノー保有分は約1.1兆円でした。
9月現在日産の時価総額は1.62兆円に減少したので、ルノー保有分は約7000億円まで減少しました。
9月現在ルノーの時価総額は69.43億ユーロなので約8560億円、このうち日産の保有分は1284億円になります。
日産はルノー株の10%(約860億円)を取得すれば、日本の国内法によりルノーの日産への支配的地位が消滅します。
逆にルノーが日産株の15%(700億円)を手放しても、日産とルノーの関係は対等になります。
なぜそうしないかというとルノーが応じないからで、フランス政府が国営企業であるルノーに「日産を手放すな」と指示しています。
現フランス大統領のマクロンは2017年の大統領選で「日産をフランス国営企業にして日本から工場を奪い取る」を公約に掲げていました。
当選後はその通りにルノーと日産統合を進めたが、日産幹部が反旗を翻したのがゴーン逮捕でした。
日産の日本人経営陣はコネがあった旧通産省(現経産省)に泣きつき、経産省は東京地検特捜部を動かした。
日産はやはり独立を捨てていない
これには安倍政権も関与している筈で、日本の資産である日産をフランスに強奪されるのを防止する為でした。
ゴーン逮捕後にマクロンが来日し、ゴーン釈放とルノー日産統合を要請したが、安倍首相は断っている。
その後もフランス政府は日産強奪をあきらめず、日本政府も日産を奪われないために妨害している。
3月ごろまでの報道ではホンダがルノー株あるいは日産株を取得する、三菱商事がやはりどちらかの株を取得するという報道があった。
日産として表立って動きたくないが、三菱やホンダという第三者がルノー株や日産株を所得することは出来る。
取得した株を日産が買い取れば日産は独立できるし、三菱やホンダが保有しても日産へのルノーの権限は弱まる。
最近の報道で日本政府(安倍政権)が日産とホンダの提携を呼びかけたが、両者とも拒否したと記事になっていました。
さらに最近日産はルノーとの統合後最大となる、80億ドルのドル建て債を発行した。
コロナの為ではあるが調達した資金の1割を使えば、日産は「ルノーの植民地」という屈辱的な立場から独立できる。
日産は数年ぶりとなる完全な新型車「フェアレディZ」を発表し、来年にかけて新車攻勢を掛けると見られている。
ゴーン逮捕前後からルノーと日産の共同開発が止まっており、今後発売される新型車は日産独自の開発になる。
旧型Zはルノーを儲けさせるためだけの車で、エンジンなど主要部品にルノーや欧州性を押し付けられ日産が買い取らされていた。
車も極めて不評で失敗作の烙印を押され、日産のイメージダウンに大きく貢献した。
日産としてはルノーの負債を押し付けられ、技術を盗まれるだけの「共同開発」はもうゴメンの筈です。
発足した菅政権の動向次第で日産とルノーの関係は急展開するかも知れません