電子メディアは10年程度しか保存できない
itの進歩によって電子メディアがどんどん普及し、入れ替わりに紙というメディアが減少しています。
このままどんどん紙が減少しすべてが電子的な記録に変わるかと言うと、おそらくそうはならない。
あらゆる電子メディアには致命的な欠陥があり、それは再生装置がないと内容を読めない点です。
CDやDVDやハードディスクやメモリーカードなどは、どれもパソコンのような装置で内容を読み取る。
ところがこの読み取り装置は「商品」なので、売れなければ製造中止になり、販売した物も30年程度で全て故障します。
カセットテープもゲームディスクもSSDも、今後数十年で読み込める機械がなくなるでしょう。
紙は1ページに数百文字しか記録できないが正しく保存すれば数百年、あるいは千年以上保存できる。
再生装置は人間の目なので、文字を解読できる限り事実上永遠に保管できるでしょう。
石板は一見長持ちするが神社の石碑などを見ると、外に出しておくと数十年で刻んだ文字は読めなくなっています。
このように電子メディアは記録期間が数十年で読み取り装置がないと読めないが、紙は永遠に保存でき機械や装置が要らない。
結局長期間保存するという目的では、紙に変わる記録メディアは登場していません。
本当に大事なものは紙で保存するべき
例えばあなたの家には親や祖先の写真、あるいは書いた文章が何か保管されているかも知れません。
あなたがスマホやデジカメで撮影した膨大な写真を子孫に受け渡そうとしても、おそらく上手くいきません。
メモリーやCDやハードディスクを子供に渡しても、孫は再生装置を持っていないのでただのゴミになります。
ネット上の保管と言うのも実際は物理的にハードディスクなどに保管していて、商売なので儲からなければ消去します。
結局自分の写真や記録を子孫に伝えるには、今も千年前と同じく「紙」で手渡すしかないのです。
今カメラが売れなくなっていて、全盛期の半分以下だがたった一つだけ売り上げが10倍増になったジャンルがあった。
それはインスタントカメラで昔はポラロイドカメラとも呼んでいて、撮影して暫くすると紙の写真が出てきます。
ポラロイドカメラは1948年に発売され10年間で100万台が売れるヒット商品になった。
その後全盛期を迎えるがデジカメ登場で一時消滅、2000年代中頃に女性を中心に人気が再燃した。
富士フィルムのインスタントカメラは2000年代前半に年10万台程度だったが、後半には年100万台に増加している。
2010年代にはスマホの高性能化でデジカメ売り上げが減少したが、「チェキ」シリーズは19年に年1000万台も売った。
実に15年間で100倍の成長であり、富士フィルムのカメラ部門はインスタントカメラで支えられている。
インスタントカメラはファッション的に捉えられているが本質的な長所は「再生装置不要」「永久保存可能」の2点にある。
再生装置不要なので仲間に渡したり大勢で見たり、交換したり壁に貼ったりすることが出来る。
今は写真屋が少なくなりコンビニで現像依頼することもないので、紙の写真はインスタントで撮る事になっている。