日本映画の衰退が叫ばれて長いが、実は日本映画は健闘いやブームなのだという意見もある。
日本映画の全盛期は戦前から1960年代までで、映画の大スターや名監督もこの時代に多い。
70年代になるとテレビ、洋画に押されて90年代になると洋画が興行収入上位を占めるようになった。
日本映画滅亡の危機が叫ばれたが、現在の国内映画売上の50%以上は日本映画が占めている。
ここで世界を俯瞰してみると世界シェアでは圧倒的にアメリカ映画が強く、ほとんどの国で映画売り上げのトップを占めている。
国産映画が外国映画売り上げを上回ったのは僅か5か国で、日本は5位(資料によって違う)となっている。
アメリカで国産映画シェアが8割を超えているのは当然として、インドも8割台で3位、1位はイランで100%だった。
イランは外国映画上映が禁止されていて北朝鮮と同じ、4位のカンボジアやも政治の干渉がある国です。
7位の中国と8位の韓国は映画が盛んなイメージがあるが、国産映画より外国映画売り上げが多い。
政治的な理由で外国映画が制限される国を除くと、アメリカ、インド、日本だけが国産映画がシェア過半数を占める国と言えます。
世界の映画興行ランキングでは、ハリウッドの超大作が同時に1位になっている事が多い。
そんな中で日本だけ、特に学校が休みの期間は「ドラえもん」「名探偵コナン」などアニメが1位になっている。
最近の日本映画の特徴はアニメが多いのと、テレビ放送したドラマなどの映画化作品が多い。
日本映画が赤字でも量産される理由
60年代以前のように小説を原作とした完全オリジナル作品が大ヒット、というのは非常に少ない。
90年代から増えたのは「映画製作委員会」という謎の集団が製作者としてテロップに登場する。
これは要するに著作権か商品化の権利を握りたい企業が、お金を出してスポンサーになっている。
テレビアニメの映画化が決定すると(決定する前から)、映画のDVD化やテレビ放映権、商品化権を狙う企業が「製作者」に入り込む。
芸能事務所や映画会社、映像制作会社や一般企業まで巻き込んで、製作開始前から権利関係は決まっている。
この方式で制作される映画では監督や制作会社には映画の権利が無く、単なる使用人として雇われている。
制作委員会方式ではお金が集まりやすい一方で、作品性が重視されず同じような映画が量産されるという指摘がある。
日本映画がコンスタントに制作され続けているのは製作委員会のお蔭だが、優れた作品が生まれにくいのも製作委員会のせいです
日本映画の公開本数は年間500本以上だが、実はかなりの映画は赤字で製作されています。
多くの日本映画の興行利上げは10億円前後で、5億円未満という場合も多い。
このうち製作者が受け取れるのは半分以下、しかも全額を製作費に使えるわけではない。
だが製作委員会の会員企業は製作者として売上を得たり、後でDVDや映画配信、テレビ放送料などの収入を得る。
例えば芸能事務所がある映画の製作委員会に参加したとしたら、その映画の所要キャストは同じ事務所で占められ出演料などを受け取る。
映画自体が赤字であってもトータルでは利益が見込まれるので、日本では赤字映画が量産される。