ちょっと前に「10年後に消える職業」のような事を言うのが流行り、ITやAIで多くの職業が消えると予想されていました。
その頃消えるリスト上位に指摘されたのは事務員、銀行員、運転手、店員、記者などでした。
2010年代はAIへの期待が非常に強く、今考えると先走り過ぎとも思える予想が多くなされました。
例えばテスラやグーグル、アップルの自動運転車が走る姿を見て、人々は来年にもすべての自動車が自動運転になると勘違いしました。
実際にはこれらの「自動運転車」は衝突防止装置搭載車に過ぎず、障害物を避けて走れるだけでした。
自動運転車には必ず人間の運転手が乗ってハンドルを握り、いつ自動運転が破綻しても良い条件でしか走行できません。
工場の敷地内やゆりかもめのような専用レーン上でしか、今後数十年間完全自動運転は実現しないでしょう。
その理由は道路の形態は規格化されておらず、「決まったパターンを繰り返す」のが得意なコンピュータの得意分野ではないからです。
米軍でも完全自動運転車や完全無人飛行機は実現しておらず、どこかで誰かが操縦しています。
こうした事を考えると運転手が不要になるのは2050年代以降かなと思います。
完全自動化という幻想
銀行員、事務員、店員なども同じ事で、パターンが無限にあるためにすべてをAIに任せる事はできません。
だが一部を自動化するのは可能で、例えば大手スーパーには自動レジが設置され、人間が対応するレジと並列に置かれています。
新聞やネットの記事もAIが書くのでライターは不要になると言われたが、そんな記事はすぐ飽きられてしまう。
AIの映画監督とかカメラマンはあり得ないし、ほとんどの職業には自動化できない部分が必ずある。
最近言われているのがコロナをきっかけに不要になる職業で、接客業は全て要らなくなるという。
温泉旅館とかおもてなしとか、店員が「いらっしゃいませ」と言ってお辞儀するサービスなどです。
確かにこれらは不要なサービスを含んでいるが、だからといって全て自動化もできない。
客は1人1人違い求めるサービスも多種多様で、完全なパターン化が不可能だからです。
ネット上のサービスには全て決まったパターンがあり、そこから外れる人は排除しています。
例えばアマゾンはアマゾンのシステムを使えない人は、全面的にお断りすることで成り立っています。
スーパーやコンビニを完全無人にすると、スマホや自動レジを使えない人や、スマホを持っていない人は買い物できなくなります。
世の中にはカードやキャッシュレスを一切持っていない人も居て、たいていは高齢者で現金でしか買い物できません。
あらゆる職業でこうした例外的なパターンが存在するので、人間が対応しなくては成立しない
無人工場のロボットだって結局は人間が毎日メンテナンスしないと、すぐ故障して動かなくなります