防衛省は2021年度予算の概算要求を5兆4897億円とする方針を発表しました。
過去最大の予算規模だが1979年代に決め公式には廃止された「GDP1%枠」は守られている。
GDPは毎年増加するものだから1%を守っても毎年過去最大の防衛費になるのは当たり前で、増えていないとも言える。
21年度の防衛費要求額は20年度比で3.3%増、それでもGDP比1%以下なので安倍政権下で防衛費を抑制したのが分かる。
メディアの報道では安倍政権は防衛費を大幅増額しているが、GDP比では増えていない。
うがった見方をすれば安倍首相より防衛費増額に積極的な菅政権で予算を増やしたのかも知れない。
防衛費のGDP比はGDPで決まる訳ですが、2019年度の名目GDPは約552兆円、実質533兆円でした。
21年度防衛費要求額を19年名目GDPに当てはめると、5兆4897億円で約552兆円なので1%以内に収まっています。
コロナによって20年度GDPは5%程度マイナスの可能性が高いが、21年度は3%以上の回復が予想されています。
これまで自民党と政府は防衛費増額と言って右翼の人気を取り、GDP比では1%以下にする事で左翼の人気を取るという2重政策をとってきました。
安倍政権でもこれは変わらず、右翼向けには「防衛重視」と言って、左翼には「防衛費を縮小しました」と言ってきました。
これはどちらも真実で金額としては増やしたが、対GDP比では抑制したり減額していました。
菅政権でも「防衛軽視」は変わらないだろう
安倍政権の後を継いだ菅政権でも、防衛費を大幅増額する話は聞こえてこないので、現状程度にとどめると考えられる。
個別の話では敵基地先制攻撃とか弾道ミサイルや巡航ミサイル配備など、威勢のいい話をするが予算の裏付けはありません。
新型戦闘機の国産開発など無理な話で、F35は3機種全体で既に50兆円の開発費を使っています。
今時高性能な戦闘機開発には最低でも10兆円、最強の戦闘機を作るには20兆円はかかり年間防衛費の2倍から4倍です。
防衛省の新型戦闘機開発予算は数千億円かせいぜい1兆円、ばかも休み休みに言えという感じです。
これで開発できるのはアメリカのお下がりを日本向けにした「国産機」か、アメリカ主導での共同開発くらいです。
弾道ミサイル防衛にしても今の予算規模では不可能で、あらゆるミサイルを完璧に防ぐ(のが可能として)には年間1兆円はかかる。
敵基地先制攻撃にしても戦闘機に誘導爆弾を搭載する程度では、北朝鮮にすら打撃を与えられない。
敵が攻撃を思いとどまるほどの抑止力にするには、地下格納式のICBMか潜水艦搭載核ミサイルが必要です。
核を保有しないならもっと多くのミサイルが必要で、巡航ミサイルやピンポイント攻撃できる長距離ミサイル数万発が必要になる。
結局予算はないし総理は批判されたくないし、憲法改正や1%枠を破る覚悟もないので、ずっとこのままでしょう。