安倍首相の辞任を受けて誕生した菅首相は、10月に初の外国訪問としてベトナム、インドネシアを外遊し帰国した。
これはかり異例で自民党の首相は同盟国であるアメリカを最初に訪問するか、米大統領と会談することが多かった。
狙いはアジアで覇権を狙う中国のけん制とも言われているが、何かを合意した訳でもなく成果は不明でした。
日本は安倍首相時代から「自由で開かれたインド太平洋」「法の支配」を強調していて、これはトランプの「中国包囲網」に呼応したものです。
トランプ大統領は中国を民主主義の敵と定義し包囲網構築を呼びかけ、日本やオセアニアが関心を示している。
アジアのアセアン諸国は中国への依存度が高く、貿易額で日米より中国が多い国も少なくない。
さらに中国による投資や経済援助、債務による支配で縛られ、債務の罠と呼ぶ状況に陥っている。
スリランカは中国から「無料で港湾やインフラ整備ができる」と持ち掛けられ、うっかりサインをしてしまいました。
その無料の中身は「年10%以上高度成長すると成長分によって事実上債務が消滅する」という分かったような分からないような理論です。
例えば中国からの借金が年利10%で、経済成長が12%なら「事実上返済しなくて良い」という事です。
現実のスリランカの成長率は平均3%台で返済不能になり、港湾などを中国に差し押さえられました。
中国はインド洋の軍港として、空母や潜水艦基地に使用すると言っています。
中国の罠にはまるアジア諸国
アセアン諸国の多くは中国から何かしらこのような「援助」を受けていて、インドネシアの高速鉄道は話題になりました。
インドネシアの高速鉄道計画は日本に決まっていたが、中国が割り込んで「無料で建設する」と言って受注しました。
その無料の中身は完成した鉄道は債務を返済するまで中国の所有物で、沿線開発権や鉄道の経営権も返済までは中国のものです。
中国は沿線の土地を売り出して利益を得て、建設費用を返済し終わるとインドネシアに返還される。
だが中国がこんなのを返済する筈がないので、インドネシア高速鉄道は「中国高速鉄道」になります。
タイ、ミャンマー、ベトナム、ラオス、カンボジアでも同じような事をやって、ゼロ円だの無料だの如何わしいIT企業みたいな契約をしている。
その話には全て罠があり、中国と契約した国は鉄道やインフラや国そのものを乗っ取られる事になります。
パキスタンは共産中国を世界で最初に承認した大恩人ですが、中国に食い物にされている。
パキスタンは西側から制裁されていて兵器やIT機器を中国から導入したが、金が払えないので資源で支払っている。
産出した地下資源は中国に取られてしまうので、自国で使ったり外国に売ることが出来ない。
タイは軍事政権が中国と親しく、背後で中国が操っているという噂が常にある。
日米から離脱して中国製兵器を導入しようとする動きもあり、うっかりすると中国の属国になりかねない。