国内の主要航空会社や世界各国が巨額赤字を計上し、存続の危機に発展しようとしている。
日本国内ではANAが21年3月期に5100億円の赤字、JALも同期に2300億円の赤字見通しを発表しました。
ANAは過去最悪でJALも上場廃止再上場後では最悪の決算予想となっている。
ANAによると4月から6月が最悪期で現在は回復傾向、一日の赤字額は半分程度まで減少している。
最悪期は毎日平均19億円の現金が流出していたが、現在も一日平均9億円が流出しているという。
今も1か月に約300億円の赤字が発生しているわけで、1年間続けば約3600億円の損失になります。
JALの赤字額は約2300億円とANAより小さいが、同社によると4月から9月に本業で約2100億円の赤字が発生した。
一日当たりの損失はANAに匹敵するので、最終赤字の差は本業以外の収益に違いがあるのかも知れません。
ANAとJALともに10月から始まったGOTOトラベルの効果で、国内線は前年比5割まで回復すると見込んでいる。
だがGOTOトラベルの対象は国内旅行のみなので、訪日外国人や海外旅行者は回復しないでしょう。
両者はリストラや給料減額、社外への乗務員出向などで人減らしし、経費削減を急いでいる。
海外旅行が回復しないと機材売却の必要
航空会社はもともと固定費が多すぎて利益が少ない体質で、燃料価格の上昇や外的要因に弱い。
航空会社は運行しなくても多くの維持費がかかり、乗務員や整備士、地上職員などの人件費、機体や地上設備などの設備費があります。
各社は非正規のCAを解雇や待機にしているが、パイロットや整備士は事業を再開するなら解雇できません。
運行しなくても機体を売る訳に行かず、格納庫や整備施設など多くの施設にもお金がかかります。
燃料代は運行しなければかかりませんが、それより固定費支出のほうがずっと大きな問題です。
日本国内には19の航空会社があったが、LCCの一部を除いてJALかANAの系列会社になっています。
JALとANAはこの何年かの好景気で内部留保が多く、すぐに経営危機に至る事はないでしょう。
ANAは政府と民間合計で1.5兆円規模の融資枠を確保していて、JALもいざという時の為に融資確保の準備はしている。
一方世界を見渡すとどこの航空会社も同じような状況で、すでに経営破綻した航空会社も出ています。
世界規模の業界再編は避けられず、大手航空会社の身売りや合併なども当然あるでしょう。
このまま国際需要が長期間回復しない可能性もある訳で、国内大手の機材売却や規模縮小なども予想させる。