ソニーは2020年11月2週目に新ゲーム機PS5を発売し、同じ週にマイクロソフトも新XBOXを発売した。
価格はディズクドライブ装備の高価格版は約500ドルで両者同一、ドライブ無し廉価版はPS5が100ドル高い。
PS5とXBOXの激突は家庭用ゲーム機の存亡やゲーム業界15兆円の行く末すらかかっているという声がある。
まず新ゲーム機は当然ながら「ゲーム機」というハードに依存し、ハード無しではプレイできない。
一方で現在世界ではハードなしのクラウドゲームが伸びており、年々ハードゲームのシェアを侵食している。
クラウドゲームは今は取るに足らない規模しかないが、2011年以前の携帯電話ゲームもこんな感じだった。
取るに足らなかったケータイゲームはスマホと組み合わせる事で市場が爆発し、世界で2019年は7.5兆円に成長した。
2020年の世界ゲーム市場は約18兆円で、スマホゲームは50%にあたる約9兆円と考えられる。
かつて王者だったスマホ以外のゲームのは残り50%を争い、PS5とXBOXのようなゲーム機は約20%を占めている。
日本では少ないが世界ではPCゲームが家庭用ゲーム機と同等の約20%を占めている。
PCゲームはネットカフェでできるようなオンラインゲームで、PCに依存するゲームと言える。
PCゲームはPCの性能によって遅延が発生するので、高価なPCを持っている人が有利にゲームできる。
家庭用ゲーム機はクラウドに勝てるか
そこに新風を吹き込んだのが家庭用ゲーム機で、かつてPC専用だったゲームの多くがゲーム機用ソフトも販売している。
家庭用ゲーム機は通信環境が同じなら同じ条件でプレイできるので、ネット上の対戦ゲームには非常に向いている。
だがここにゲーム機やPCに依存しないクラウドゲームという概念が登場し、大手IT企業が参入している。
クラウドゲームはPCオンラインゲームと違い、クラウド上ですべての計算をし、ユーザーのPCでは計算結果を表示するだけです。
これだと理論上は100万円のPCでも10年前の中古PCでも同じようにプレイでき、高価なPCは必要なくなる。
マイクロソフト、アップル、フェイスブック、アマゾンなどの巨大IT企業が参入したり参入しようとしている。
クラウドゲームには重大な欠点があり、ハードに依存しないが通信速度に依存している点です。
PCゲームはPCが計算をし結果を送受信するだけだったので、通信速度はそれほど早くなても良かった。
クラウドゲームはクラウドで計算し結果を送受信するので、通信速度が遅いと「ハンドルを切ったが曲がるのは1秒後」のような状態になる。
クラウドゲームを快適にプレイできるのは理想的な通信環境にある人だけで、今はまだ使い物にならない。
だがサービスしているのは巨大IT企業群なので、欠点はあっという間に改善される可能性がある。
家庭用ゲーム機の長所の一つはネットに接続しなくてもプレイできることで、今も多くのゲームがネット環境なしでも1人プレイできる。
クラウドの欠点が解消されクラウド時代になったら、家庭用ゲーム機は高性能である必要が無くなり消滅するという予測もある。
だがネットゲーム化によるゲーム機不要論は10年以上も前から言われていて、今もゲーム機は1億台以上(PS4)売れている。
PS5対新BOXの裏テーマは、クラウド時代にゲーム機は必要とされるかという事かも知れない