田舎はどこでも同じではない
東京など大都市でコロナ拡大が続き、都会を脱出して田舎でキャンプしたり移住するのが流行っている。
休日に田舎でキャンプするのは別にいいが、移住となると現実離れした夢を持つ人も多い。
田舎と言っても東北や北海道は冬に積雪があり、関東以南の温暖な地域とはまるで違う。
移住先としてかならず人気トップなのが長野県だが、信じられないし考えられもしない。
日本海側の主要都市では冬の最低気温でもマイナス5度になるかどうかですが、長野は高地なのでもう10度か20度低い。
すると平地の人間の常識は通用しなくなり、冬に外を歩くという普通の事が危険になる。
ペットボトルの飲料を車の中に入れておくと、朝になったら芯まで凍り、車そのものもカチカチに冷凍されている。
田舎でも県庁所在地や第二都市は10万人程度の人口があるが、過疎地では人口数十人や数人の場合もある。
日本はどこでもスマホが通じると思われているが、それはある程度の都市だけで過疎地では通じない場所があります。
スマホや携帯電話が通じにくい場所では高速インターネットが無い場合があり、動画など見れません。
プロバイダーがその地域をカバーしていないからで、「限界集落にIT移住」なんかあり得ません。
ネットで完結する仕事はインターネットが生命線で、接続が不安定だったり回線が遅ければ仕事はできないでしょう。
本当の田舎にはインフラが無い
比較的気候が温暖で人口が多い地方の主要都市に移住するのは、将来を考えたら良い判断かも知れません。
だが過疎地と呼ばれる地方では、都市部や平地では当たり前の、最低限のサービスが無い場合が多い。
水洗トイレ、上下水道、電気ガス、舗装道路、除雪、ゴミ収集、災害復旧などが限界集落ではありません。
ゴミ収集で村八分というのがあり、よそ者だからという理由で自治会入会を拒否され、ゴミ捨て場を利用できない移住者が実在します。
これも実例で電線を引くのを拒否されたため、反対側の隣町から実費で電線を引いた人、結局電線を引けなかった例もあります。
山地では水道がないのが普通で、やまり自治会で独自の水道を引いていて、水利組合の会員以外は水を使わせてもらえません。
移住者だから、よそものには使わせないという場合があり、当たり前のことが当たり前には進みません。
降雪地域では雪が降りますが、限界集落では降った雪は自分ですべて除雪して川などに捨てます。
人口が少ない末端集落まで除雪車がこないからで、たとえ来ても一冬に数回でしょう。
こんな時に物をいうのが縁故で、地元住人は親戚や縁者には無償で除雪や雪のけをしてくれます。
縁故のない移住者となると、悪気はなくても事実上の村八分になります。
水道を使えるのは親戚筋だけとか、ゴミ捨て場も縁故がある人しか使えない事もあります。
さらに悪いのが道路で、山と川に挟まれた崖のような場所にあり、大雨ですぐ不通になります。
市街地に近かったとしても道路が不通では集落からでれず、そんな場所は自治体から厄介者扱いされています。
人口が少なく高齢者が多いので納税額は少ない、それでいて災害が良く起こり復旧に税金がかかる。
災害をきっかけに「移転してはどうか」などと言われ、廃村になった村も多い。
そんな場所に都会から移住するのは現実的でなく、移住するなら地方の人口10万人超の街にした方が良いです。
福岡市とか、長野でも長野市とかならまだ都会の常識が通用するし、車やバスで街から出れば「田舎」が広がっています