中国鉄道バブルの果て
中国高速鉄道の赤字について何度か書いてきたが、中国メディアによると今後建設予算が大幅に縮小される。
2021年3月30日のAFPによると、全人代で今後5年間に1.5万キロの高速鉄道を建設すると発表していた。
日本の新幹線総延長は約3000キロなので、5年で1.5万キロなら毎年3000キロ建設する事になる。
中国国家鉄道集団の陸東福会長は、人口50万人以上の都市の98%に高速鉄道が行き渡るようにすると発言した。
ところがそれからひと月も経たない4月25日の事として、中国メディアの百家号は「多くの高速鉄道建設が中止される」と報道した。
記事によると高速鉄道の新規建設に厳しい条件を課し、その一つは必ず省都かそれに準じる大都市を通過しなくてはならない。
年間利用者数が延べ2500万人以上であること、中長距離利用者の割合が7割以上を占めることも条件になる。
中国高速鉄道の年間利用者は2018年に約20億人だったが総延長は5万キロなので、仮に1路線250キロなら1000万人程度に過ぎない。
日本の新幹線利用者は年間約3億人弱で、距離は中国の1割以下の3000キロで一部を除いて大半が黒字です。
中国高速鉄道で黒字なのは北京上海線だけで、しかもこれには建設費を含んでいません。
実質的に全路線が赤字な訳で、中国高速鉄道鉄路局の累積赤字は約100兆円に達している。
中国の高速鉄道建設費は高騰し、1キロあたり50億円はかかっていると推測されている。
中国の終わりが始まった
中国は現在、年間の鉄道建設費を公表していないが、鉄道省があった時は年50兆円使っていました。
あまりに酷いので鉄道省は廃止され民営化したが、年間の鉄道建設ペースは以前と変わっていません。
中国にもインフレがあるのを考慮すると、現在も年間50兆円以上は鉄道建設に使っている筈です。
2020年にコロナ大流行があり、ケチで有名な日本政府すら100兆円の政府予算を組みました。(政府支出はもっと少ない)
アメリカは300兆円以上も使ったので中国はもっと多い筈で、コロナ対策だけで500兆円以上は使ったでしょう。
中国は2020年に2%経済成長したと発表したが、これを達成するために数百兆円の政府投資をした。
中国は「中国に借金など存在しない」としているが当然ある筈で、無いと言って消えるものでもない。
とうとう中国の財政も大型支出に耐えられなくなり、高速鉄道建設中止に至ったと考えられる。
中国の経済成長は政府の投資によって達成していて、例えば2%成長すると30兆円だが、そのためには数百兆円投資している。
300兆円支出してたった2%成長だと政府支出のほとんどが借金になり、すでに政府債務のGDP比は300%を超えています。
政府が支出を削減すると成長率が低下し税収が減るので、加速度的に中国は低成長になり財政悪化します。