国の威信も巨額赤字に耐えきれず
中国政府が突然、ほとんどの高速鉄道新規建設の中止を決定したと2021年4月25日の中国メディアが報じた。
スクープしたのはネットメディアの百家号で、ネットサービス大手のバイドゥ(百度)が運営している。
ヤフーニュースの独自記事みたいなもので、一応は大手メディアでそれなりの根拠があるとみられる。
中国は新聞社やテレビアナウンサーは国家資格で、特に政府関係で嘘を書くと資格をはく奪されたり国家反逆罪に問われる場合がある。
日本の朝日新聞や沖縄の新聞のように適当な煽り記事を書くと、公安に連行される場合もある。
2014年頃だったか中国で子供ホームレスが急増し、ある冬にゴミ箱の中で兄弟が寒さでなくなった事があった。
中国人カメラマンがそれを撮影してネットで公開し大きな話題になったが、彼はそれっきり行方不明でどうなったのか分からない。
こういう国なので政府に不都合な記事を書くのは命がけ、記事を書いた人や責任者は当局に確認を取って公開した筈です。
その百家号の記事によると中国高速鉄道のほとんどの路線が赤字で、新規建設をクールダウンする必要が生じた。
現在計画している高速鉄道計画をすべて見直し、新基準に適合した路線だけを建設する。
条件は省都か大都市を通過、年間利用者数2500万人以上、中長距離利用者が7割以上の3つです。
既存高速鉄道の平均年間利用者は2000万人に達しておらず、大都市ほど早く建設したので今後の路線はほとんど不可能でしょう。
中国鉄道バブルの後始末
中距離利用者が7割も厳しいし、省都や大都市を通る路線は既に開通していて新規路線では少ない。
総合すると「今後高速鉄道の新規建設を認めない」と言っているようなもので、事実なら中国政府の大転換となる。
記事では「高速鉄道などのインフラ建設で経済を支える時代は終わった」とし、通信や原発など次世代インフラに移行するとも書かれている。
この程度の記事でも政府批判と受け取られれば即逮捕され行方不明になるので、書いた記者は命がけで書いたはずです。
百家号の記事の5日後の4月30日に、中国国家鉄路集団は2020年の通期決算を発表しました。
総売上高は8.1%減の1兆600億元(約17兆8610億円)、損益は555億600万元(約9353億円)の赤字
コロナの影響で旅客輸送人員は21億6600万人となり前年比39.4%減、後半は回復したが通年では大幅減だった。
2021年1~3月期決算は売上高が前年比19.6%増、純損益は408億1100万元(約6877億円)の赤字だが赤字額は33.15%縮小した。
まあ「20年の赤字はコロナのせいで俺のせいじゃない」と言いたげで、実際そう言いたいのでしょう。
コロナ前は2019年の純損益が25億7400万元(約434億円)の黒字だったが、これには鉄道建設費が含まれない。
年間約1兆円の赤字で累積赤字は約100兆円に達し、しかもこの赤字は建設費用を含まない運営費にすぎない。
高速鉄道で唯一黒字なのが北京上海線だが、これも建設費を含めると赤字なので全路線が赤字です。
これから中国は鉄道バブルの後始末に追われる