馬車に乗っていた人はすぐ自動車の時代になるとは思わなかったでしょう
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イノベーションのジレンマとトヨタの憂鬱

イノベーション(革新)のジレンマとは既に市場を支配している巨大企業が、小さな新興企業に敗れる過程を差しています。

典型的な例として、巨大企業は優れた製品を持っていて、一見ゆるぎないかのように見えている。

ある日学生とか小企業が「くだらない」アイディアでおもちゃのような商品やサービスを始める。

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大企業は圧倒的な市場シェアと最も優れた商品を持っているので、新しい小さな市場に参入しない。

そのうち小さく下らない商品は人々に受け入れられ、気づいたら学生企業は巨大企業の1割ほどに成長している。

だが巨大企業はまだ自分たちが圧倒的優位なので、多くの事業の一つとしてゆっくりと小企業の市場を奪いにかかる。


だがその頃には革新的な新商品は高度に進化していて、巨大企業は時代遅れになっていく。

やがて小企業は爆発的に売れるメガヒット商品を手に入れ、数年で巨大企業を倒し、自分が巨大企業になる。

アップルやグーグルやフェイスブック、アマゾンらは皆こうして旧企業を倒して巨大企業になった。


Amazonがサービス開始した時は日本の出版産業の絶頂期で、本屋がなくなるなど誰も考えなかった。

日本の偉い人は「夜中にインターネットで本を買うようなバカが居ると思ってるのか」とあからさまに嘲笑した。

フェイスブックは学生同士が情報交換するミニ掲示板みたいなものから始まった。


アップルのジョブズの”事業”の始まりは違法に長距離電話をかける機械で、最初のパソコンは家一軒より高く性能は今の電卓程度だった。

グーグルは少し早いただの検索エンジンで、それがマイクロソフトを凌ぐ産業になるとは誰も思わなかった。



トヨタは時代の変化に勝てるか

今倒される側にいるのは自動車産業のトヨタで、倒そうとしているのはテスラなど新興EV企業群です。

トヨタは今半導体供給で悩まされているが、商売自体は絶好調で生産できれば今年も世界一でしょう。

だから何かを変える必要はなく、革新的な事を始める必要もない側です。


EV企業は最初小さいがEVだけに全資本を集中し、それだけを絶えず革新し続けるでしょう。

トヨタはガソリン車が売れているしHVもあり、EVの他に燃料電池や水素自動車も開発しています。

またトヨタの金融資産を稼いでいるのは実は自動車生産ではなく自社の自動車ローンです。


自動車以外にも無数の事業をしていて、こういう多角化企業は保守的で変化を好みません。

その典型が東芝や三菱グループで、何か新しい事を始めたりするがグループ全体としては変わらない。

トヨタに有利なのは自動車はネット業界と違って変化が遅く、遅い理由は生産の困難さや巨額の資金や設備、人材などが必要だからです。


ネット世界では学生が始めた遊びが10年後に売上1兆円になるが、自動車は資金も必要だし土地やコネや政治力も必要になる。

だから今のところトヨタは倒されていないが、今トヨタがやっている「未来技術」で成功するのは良くて一つだけです。

新興EV企業はEVが成功すれば勝者、EVが負ければ敗者という丁半ばくちみたいな賭けをしている。


自動車を巡っては自動運転やシェアカーの波も来ていて、例えば今の自動車すべてがシェアカーになれば自動車の台数は半分以下になります。

過去のネット王者だったヤフーのように、気づけば挽回不可能になっている事もあり得ます