物価上昇で多くの住宅ローンが破綻する理由
あらかじめ予想されていた事ではあったが、新型コロナ流行で収入が減少し、住宅ローンを返済できない人が増えている。
予想できなかった要素はインフレで、日本以外の国では物価が上がり金利も上昇しようとしている。
物価が上がるインフレを抑えるには、金利を上げてお金を借りにくくするのが有効だからです。
低金利だとお金を借りやすくなり好景気になるが物価が上昇します。
逆に高金利だと借りると損なので、お金を借りなくなって不景気になるが、物価上昇は抑えられる。
日本はまだインフレではないが、食料品や消費財の値上げが目立っていて、物価上昇率2%を超える可能性がある。
インフレ率2%は2012年に安倍首相が目標にしたが一度も達成できず、平均で1%未満にとどまった。
2020年のインフレ率はマイナス0.03%、日銀は21年を0%、来年22年を0.9%と予想している。
これがもしイギリス並みの4%とかになったら、住宅ローンの変動金利も4%程度になる可能性が高い。
変動金利はゼロ金利下ではゼロに近いので選択する人が多いが、もし4%なら2000万円だとして年間80万円も支払額が増える。
2%でも年間40万円増えてしまい、平均返済額年100万円が4割も増えてしまいます。
住宅ローン利用者の平均融資額は2000万円程度、年間返済額は100万円程度となっています。
住宅ローンは巧妙にできている
住宅ローンは巧妙にできていて、最初は金利だけを払い、後半やっと元本を払う。
35年間のうち10年くらい払っても、元本がほとんど減っていないのはこのためです。
もし途中で返済不能になって解約すると、どの時点で解約しても住宅の価値より残高が多い。
住宅ローン返済不能になると家を差し押さえられるが、差し押さえられても1000万円ほど債務が残る例が多い。
しかも住宅ローンは強制解約なので1%のような低金利ではなく、10%もの高金利が適用されます。
残高が1000万円で金利が10%だったら金利だけで年100万、しかも30年などの長期ではなく「1年以内」などの返済が求められる。
返せるわけ無いのは銀行は百も承知で、連帯保証人に請求して資産を差し押さえにかかります。
統計ではコロナ前の平成29年に、住宅ローン利用者の25人に1人が「返済に行き詰っている」と回答しています。
今後はどう考えてもこの割合は10人に1人のように増えていくと考えられます。
政府は金融機関に「すぐ差し押さえずローン長期化や一定期間据え置くように」指導しましたが、永遠ではありません。
実際に住宅ローン破綻した件数は2015年が5.12%、2019年は3.2%、これは多くの人が思うより多いのではないでしょうか?
平均すると4%なので『新築住宅の25軒に1軒はローン破産する』のが現実です