中国人も1人になりたかった
中国人といえば大きなトランクをごろごろ転がして並んで歩く姿を連想します。
いつも大勢で一緒にいる印象ですが、中国人自身としてはこの状況が好きな訳ではなかった。
ネットで日本の飲食店の1人席や1人用カウンターが紹介されると、大半が「羨ましい」という書き込みで埋め尽くされていた。
日本ではカラオケなどの娯楽も1人で入れるし、最初から1人用の料金やコースが設定されている。
中国では従来は団体客優先で1人で利用できる店が少なかったが、少子化と1人っ子で1人需要が増えている。
彼らは生まれた時から1人っ子で自分以外に兄弟は無く、親は自分だけのために何でもしてくれる。
だが人口が多いので成長するにしたがって集団行動を要求され、内心では苦痛に感じていたようです。
中国でも2019年ごろから「おひとり様ブーム」という言葉が聞かれるようになり、1人需要や1人経済が盛り上がった。
新型コロナ流行によってブームは頓挫したが、やがて前以上におひとり様が重視されるでしょう。
中国では婚姻数が年々減少し、出生数も減少しているので家族連れやカップルは減少するばかりです。
代わりに増えているのは1人客で、男も女も1人で行動し、旅行したり宿泊しています。
2019年には中国でも「一人カラオケ」が流行り、1人で飯を食う日本の「孤独のグルメ」が人気を得ていました。
中国ではまだ飲食店で1人用の席が少ないので、デリバリーや持ち帰りを利用する人が多い。
コロナ後はおひとり様経済が加速する
日本では最近1人客を重視した焼き肉店が増え、店内のようすなどが中国でも紹介されています。
「1人で焼き肉を食べるなんて寂しい」のような反応かと思いきや、若者の多くは「どうして中国にはないんだ」という反応でした。
やっぱり何十人もの団体で食事をするのは、好き好んでやっていた訳ではなかったのでした。
一人で食事したりサービスを利用すると、複数人で利用するより割高になります。
だが中国の若者は全員1人っ子なので、親の援助があったりして昔より裕福な若者が多い。
中国ではカプセルホテルや1人で安く泊まれる宿泊所が増え、1人で旅行する人が増えている。
団体旅行の反動なのか、1人で自由に行動したいという女性が多い。
中国で1人旅をする人の5割以上が女性(19年以前)、女性同士の友人で少人数旅行する人も増えていました。
中国の独身成人は2億5000万人以上で、9000万人が1人暮らしをしている。
「1人は寂しい」のは周囲の思い込みで、本人は集団から離れて1人で行動したがっている