100万円の土地を、政府が金を出して200万円にすると、国のGDPは2倍になります。
こんな仕組みで中国はGDPを増やしてきた
中国GDPの半分は、政府の不動産買い支え
中国は2022年の成長目標を5.5%にしたいようだが、達成は困難になるかも知れない。
中国がGDPを上げる手法は政府が不動産に投資することで、中国GDPの50%以上が不動産関連です。
例えば政府が来年の成長率を6%にしたい場合、不動産価格を6%上昇させればほぼGDPも連動します。
日本も同じ事でGDPを2倍にするには土地価格を2倍にすれば良いが、これを低く抑えているのでGDPも上昇しない。
中国は事実上政府予算でマンションや土地を買い支えていて、その年間予算は数百兆円に達しています。
数百兆円の予算を投じてGDPを70兆円ほど成長させるが、政府が使った金額の数分の1しかGDPは拡大しません。
税収はGDPの何割かしか回収できないので、政府が使った数百兆円の9割以上は税収で回収できません。
どう考えたって持続不可能なので、習近平政権はこの何年か不動産への公共投資を削減しようとしてきました。
ところが経済減速で低成長になったところへ新型コロナの経済減速があり、再び巨額支出を余儀なくされた。
最近中国メディアは、国内の不動産市場が急激に低迷していると報道しています。
東方新報などによると、各都市で不動産物件が供給過剰になり、大幅値下げする業者が増えている、
だが以前に高値で買った客が不満を持ち、トラブルに発展するケースも増えている。
中国でも不動産不況が来る
不動産専門シンクタンク「易居房地産研究院」のリポートでは、主要100都市の新築住宅在庫は増加している。
36か月連続で在庫増、在庫面積は2016年8月以来、平均消化サイクルは12.5か月となっている。
仕入れた物件が売れるまで平均1年以上かかっているので、もう飛ぶように売れる状況ではない。
3線都市、4線都市と呼ぶ地方都市では、売れるまで2年から3年もかかっている。
中国では2020年にコロナが拡大すると行動制限が出され、観光業や製造業が一気に冷え込みました。
すると行き場を失った投資マネーが不動産へ集中し、かえって意味不明な地価高騰を招いていた。
政府は不動産業への規制を強化し、不動産大手の恒大集団の経営危機から不動産市場が一気に冷え込んだ。
武漢市では住民によって21年10月にマンション値下げ反対デモが起き、「資産価値が一夜で30万元以上(約539万以上)下がった」と主張していた。
地方政府はマンションの値下げ制限令を出し、マンション住人には補助金支給や免税措置をする事になった。
日本の首都圏の新築分譲マンション価格は6700万円らしいですが、北京は6100万円で上海は5200万円(ともに2020年)で高すぎました。
中国の所得が上がっているとは言え北京のサラリーマン年収は260万円、これはトップクラスのエリートの場合と考えて良い。
普通の労働者は200万円も貰っていないし、農村戸籍の農民工はこの半分以下と考えて良い。
地方都市はこれよりずっと低く、農村では年収10万円以下の人がまだ大勢います。
そうした人たちにとって都市部のマンション価格5000万円は、日本で言えば5億円にも等しい
不動産価格上昇によるGDP拡大は、やっぱり持続不可能なのです