軍艦で原発に匹敵する電力を確保するのが困難
だが高性能バッテリーなら瞬間的に大電力を確保可能
とある超電磁砲?
日本政府がミサイル迎撃のため、レールガン(電磁砲)を開発すると発表したのが話題になっています。
松野博一官房長官は1月12日の記者会見で、極超音速兵器も迎撃可能とされるレールガンなど先端技術導入を進めると発言した。
発言だけでなく2022年度予算ではレールガンなど新技術開発に65億円を支出し、口だけではないのを示した。
これに対してレールガンはアメリカが開発に失敗し既に撤退した、終わった技術であるという指摘が相次いだ。
果たしてレールガンは本当に終わった技術なのか、それとも日本は実用化させ新技術の先頭に立つのでしょうか?
レールガンの原理はある意味火薬より単純で、磁石の反発を利用して物を動かす仕組みです。
それで軸を回転させるのがモーターで、水平に並べて列車を加速させるのがリニアモーターです。
レールガンは数グラムから数百キロの物体を射出し、数キロから数百キロ遠方まで飛ばします。
日本政府の目標は極超音速ミサイル迎撃なので、高度数十キロまでマッハ10以上で射出する必要があります。
防衛省は2017年度からレールガンの試作をしていて、報道によると秒速2000m(時速7200km、マッハ約5.8)を達成しています。
初期段階でこの速度はまずまずで、アメリカはマッハ6で射程200キロを実現し、地上での発射実験にも成功した。
だがそこで開発は中止されてしまい、2022年以降のレールガン開発予算はつかない模様です。
最難関は電源確保
アメリカ軍がレールガンの開発を中止した理由は大きく2つあり、一つは消費電力が大きすぎて搭載できる軍艦が存在しない。
2つ目は中ロの極超音速ミサイルが実用化したので、アメリカも極超音速兵器に予算を集中させると言うお金の問題です。
アメリカが開発した小規模なレールガンを搭載するには25メガワットの電力が必要で、空母を含めて現存艦には搭載できませんでした。
にも拘わらず性能はマッハ6と通常ミサイルとあまり変わらず、射程も200キロ以内なら長射程対空ミサイルで可能です。
米軍が開発中の極超音速ミサイルはマッハ5以上で航空機に搭載可能なので、既存の軍艦にも搭載可能です。
では日本も極超音速ミサイルを戦闘機や護衛艦に搭載した方が良いと言うのが、レールガン不要論です。
アメリカは中ロの核ミサイルに対して核ミサイルで応戦するのが基本方針で、迎撃にはあまり熱心ではありません。
日本政府は応戦手段がなく迎撃だけなので、レールガンを保有する意味があると考えている。
アメリカはレールガンを従来の艦載砲や中距離ミサイルのように使う予定だったが、日本のレールガンは「迎撃のみ」に特化する。
レールガン開発で最大の難関は電源確保で、軍艦で運用するには一般家庭数千世帯分の電力が必要になる。
アメリカ軍はガスタービンエンジンで発電しようとしていたが、おそらく日本は全個体電池など高性能電池を検討している。
電池で運用できるなら巨大なエンジンを常時稼働させる必要がなくなり、船内にバッテリーを搭載すれば良い。
もしレールガン実用化に成功すると、もっと大きなミサイルを発射し極超音速ミサイルとして敵基地まで飛行させるのも可能になります。
レールガンで対空ミサイルを射出すれば、迎撃ミサイルを高高度まで打ち上げたり極超音速対空ミサイルになる。
米軍が断念したものを日本がやると言う事は、最難関の電源確保に一応の目途がついたと考えられる