中国の寝そべり族
最近中国では寝そべり族が増えていて、若者の間には寝そべり主義が横行している。
路上で寝るわけではなく、いわゆるニートや引きこもりに近いニュアンスがあるようです。
中国は以前は9割が農村で暮らしていたが、今は6割が都市部に住み1人っ子政策で全員が兄弟なしで育った。
両親は自分だけに全ての養育費をかけるので、生まれた時からそれなりの環境であり貧困層ではない。
都市部の子供たちは日本の10倍の人口なので10倍の競争に放り込まれ、日々過酷な競争に身を置いている。
中国は1970年代から高度成長だが成長率は年々低下し、現在は5%を維持できるかの攻防になっている。
年5%台は日本から見ると高成長だが、20代の失業率は10%以上あり、都市戸籍がない農民工はもっと多いと推測されている。
日本の20代失業率は5%前後(98年から2005年までは10%以上)で、中国の若者は日本の2倍失業している。
つまり今の中国の若者は、日本で「ニート、ひきこもり」が増えた頃と同じように高失業率になっている。
努力しても無駄、コネがあるものが得をし政治家の息子が政治家になり出世するのも日本に似ている。
出生率は下がり国は活力を失い、徐々に衰退していくのを目の当たりにする世代です。
こうして生まれたのが「ねそべり族」で、夢や希望を持たず、向上心がなく自分が成功できるとも思っていない。
寝そべる事が若者の反抗
典型的な寝そべり族と紹介されているのは・周さん23歳で大学を卒業して両親と3人暮らしをしている。
2、3日に一度仕事をして月収2万円から3万円、手に入らない物は望まず自由に過ごしている。
彼の年収は30万円ほどになり、中国平均の80万円よりかなり低いが両親も働いているので生活はできる。
それに年収の「平均」は高所得者が吊り上げるので、どんな国でも平均の半分くらいの層が最多ゾーンになっている。
家、車、恋愛、結婚、子供、消費は諦めて、最低限の生活を維持できればそれで良しと考えている。
寝そべり主義が始まったのはコロナ下の2021年4月で、ネット上で駱華忠という人物が提唱した。
彼は工場の仕事を辞めて2,100kmを自転車で走り、月6000円ほどの収入で一日2食で生活していた。
寝そべり主義は競争に疲れた若者に支持を得て広まったが、これに中国政府が警戒心を持ち始めた。
21年に中国政府は「未成年のゲームは週3時間だけ」「コスプレ禁止」など意味不明な規制をしたが、寝そべり対策だったと言われている。
中国では共産党への反抗が許されないが、寝そべり無欲になるのを罰するのは難しい