損なのに収入
産経新聞などによると生活保護を受けていた高齢者が競馬の払い戻しを受けたため、生活保護不正受給になり300万円以上の「返還」を請求された。
見出しだけ見ると役所が正しいようだが、実際には男性は競馬で大きく負けていて、ギャンブルは多くの人がやっている事でもある。
2021年12月に生活保護受給者の70代男性が競馬を的中させ、327万円の収入がありながら届け出なかった。
生活保護法は、受給者が収入を得た場合は自治体に届け出て、その分の支給額が差し引かれる。
男性は届け出ていなかったが、福祉事務所の担当者が男性宅を訪問した際、通帳があるのを発見した。
通帳には日本中央競馬会(JRA)との6年間の入出金明細が記録されていて、327万円の払い戻しが記載されていた。
ところが男性は481万円の馬券購入をした記録も残されていて、差し引き154万負けていた。
数年前に競馬の払い戻しが事業所得か雑所得か争われた裁判があり、「自動ソフトで継続して全レース購入した場合は事業所得」という判決が出た。
買わないレースがあったり自動ソフトではなく人間が考えて馬券を買った場合は趣味であり事業では無い事になる。
事業所得では購入した馬券代は経費になって所得から差し引かれるが、雑所得や一時所得では払戻金全額に課税される。
この男性の場合は327万円全額が所得とみなされ課税されるが、実際には収入はなかったのに生活保護の不正受給と判断された。
男性の問題点はJRAネット投票で馬券を買っていたことで、通帳に記録が残ったのもこれが原因でした。
生活を切り詰めて競馬資金を捻出
生活保護費でパチンコや競馬をする是非は度々議論されているが、よほど入りびたっていない限り打ち切りにはならない。
「所得」がいくらあるのか証明できないので返還請求できないし、いくら使ったのかも証明できないので打ち切りもできない。
さすがに朝から晩までパチンコや競馬に入り浸っていたら分かるが、そうでない限り発覚しない。
パチンコや競馬は言うまでも無く主催者や事業者が勝つことになっていて、プレイヤーが勝つことはほぼ無い。
にも拘わらず税制上は「所得を得た」ことになり、課税されたり生活保護を打ち切られる。
通帳によると男性が払い戻しを受けたのは6年間で101回、年平均16回なので月に1~2回、金額は平均3万円程度だった。
購入金額を日数で割ると土日の2日間で1万6700円、6レース買うとすると1レースの購入額は2800円になる。
6年間で154万円負けたので年平均25万円、月平均2万1千円負けていた。
生活保護費は9万から12万円くらいなので、他をかなり切り詰めて競馬資金を作っていたとみられる。