欧州の天然ガス価格が10倍
アメリカは緊迫するウクライナ情勢に備えて、日韓中印の4か国に天然ガス輸入枠を欧州に融通できないか打診した。
欧州は天然ガスの40%をロシアから輸入していて、パイプラインも建設しもっと増やそうとしている。
日本は天然ガスの100%を船で輸送しているが、パイプラインのほうがコストが安くなる。
欧州は脱炭素のクリーンエネルギーを目指し、22年1月1日に天然ガスをクリーンエネルギーに指定したばかりだった。
ロシアはウクライナを自国の領土あるいはソ連時代のような衛星国家にしようとしていて、国境に10万人の兵力を集めている。
実際にはウクライナ東部を占領する親ロシア武装勢力に協力する形になると思うが、対抗してNATOも数万人の兵力を集めている。
最初は親ロシア武装勢力とウクライナ政府軍の戦いになり、加熱するとロシア軍が加担し、ウクライナ政府にはNATOが加担します。
例えば偵察や対空ミサイル、工作員や特殊部隊が潜入したり、ロシアNATO双方の最新兵器を援助する。
対立が深刻化するとロシアは欧州向けの天然ガス輸出量を絞ったり、止めてしまうと考えられる。
欧州はエネルギー危機に陥りたまらず撤退か支援縮小、ロシア軍は労せずして勝利しウクライナを支配下に置く。
こうしたシナリオが容易に想像できるので、バイデン大統領は欧州向け天然ガスを確保しようとしている
ところが天然ガスの供給量は限られていて、急に生産量を増やす事はできない。
日本は購入枠が少し余っている
天然ガスは原油採掘時に出るガスで、天然ガスだけを大量に生産することはできない。
元々は石油を掘った時の副産物で、余っているので日本が安く買って利用していた。
ところが石油よりCO2排出が少ないのが分かり、にわかに需要が急増し価格が高騰している。
天然ガス価格はほぼ原油価格に比例し、原油は1バレル(159L)=80ドルで一時期の30ドル程度から急騰している。
天然ガスは$/mmbtuという単位で日本は12.77$、欧州は27.62$、欧州は2020年に1.58$だったのでかなり値上がりしています。
買い付け価格もこれに比例していると思われ、日本は10年単位の長期契約で購入している。
長期契約は買い付け量だけで、価格はその時々の原油相場に比例して決定される。
欧州はスポット契約が多く、スポットは市場で余っている分をその時の時価で購入する
数年前ガス相場が下がった時スポットのほうが安くなったが、今はスポットのほうが数倍高い。
今後限られた余剰分をスポットで買うと、長期契約の10倍にもなると予想されています。
そこで欧米は日本に「余ってたら売ってくれない?」と言っていて、実は日本の長期契約分は余っているとされる。
2020年の日本のLNG輸入量は、74.4MTで前年比3.2%減、21年は75MTなので10年契約の一部が余った筈です。
原因はコロナによる電力需要縮小で、それでも日本一国で全世界のLNGの20%以上を消費している。
去年まで需要低迷でスポット価格の方が安かったので、欧州各国は長期契約せずスポット購入していた。
それがウクライナ危機で突然価格10倍になり、「うまい棒」がある日税込み110円になったような話でした。
日本は原発再稼働すればその分天然ガスの消費量が減るので、原発を稼働させればいいのではないか