収支黒字でも貿易赤字だと困る理由
日本は今では貿易赤字の国で、2021年は1年の7か月が赤字で黒字は5か月だった。
20年は4か月が赤字、19年は9か月、18年は8か月が赤字と「貿易立国」が聞いてあきれるような状況です。
それでも日本政府と経団連は「日本は貿易立国」と言い張り、自分の利権を守るために輸出企業だけを優遇しています。
実際には日本は貿易赤字を遥かに上回る貿易外黒字があるので、年間20兆円も国際収支が黒字です。
実はこの経常収支もそれほど重要ではなく、欧米のGDP上位国の多くは貿易も貿易外もすべて赤字です。
そういう国は黒字国から赤字と同額の投資を受けているので、赤字国も倒産する事は無く経済成長しています。
例えばアメリカは膨大な赤字国家だが、日本が全力を挙げてアメリカに投資するので、むしろアメリカが儲かっています。
韓国は貿易黒字国家で経常収支は8兆円くらい黒字で貿易収支は5兆円くらい黒字(2020年、1ドル110円として)でした。
2022年1月の貿易収支は48億9000万ドルの赤字で、1996年の統計開始以来最大だった。
輸出が15%伸びて輸出が35%伸びたので、輸出もかなり伸びていました。
通常なら輸入が増えるのは国内消費が活発だからで、むしろ良い事のように思えます。
アメリカは常に消費が活発なので常に貿易赤字だが、国内経済が拡大するので問題ない。
貿易赤字定着なら産業構造転換が起きる
今回の韓国の貿易赤字は国内消費や国内需要が拡大したのではなく、世界的なインフレで資源価格が値上がりしたからです。
日本は資源のほとんどを輸入していて、原油やガスや資源のほとんどは大手商社が調達している。
商社は輸出国と交渉して10年以上の長期契約を結び、一般的に長期契約のほうが安く買えます。
韓国はその時々で必要な量だけ購入するスポット契約の比率が多く、それで安く買える事もある。
だが例えば現在、天然ガスのスポット価格は安い時の10倍にも値上がりしていて、資源輸入コストが上昇している。
輸出も過去最大だったのだが、資源高騰でそれ以上に輸入が過去最大になった。
一方日本は21年12月で7か月連続貿易赤字、だが経常収支は1兆1656億円の黒字なので今年も15兆円程度の経常黒字でしょう。
経常黒字は自動車メーカーの海外工場や、ポケモンのダウンロード、知的所有権、海外投資のリターン、アニメの視聴などでもたらされている。
貿易黒字だった国が貿易赤字、経常黒字に転ずると合計の数字は同じだが、国内の工場ではなく外国工場で生産するようになります。
その分国内で製造業の労働者があまり、日本の90年代から2000年代のような大失業時代や構造転換が起きるでしょう