リチウムを少し得るのに膨大な土砂を掘るので、採掘には時間がかかる
今度は電池危機?
2020年から21年の自動車業界は半導体不足に見舞われ、多くの自動車メーカーは予約があるのに減産に追い込まれた。
半導体不足は今も続き来年まで続くとみられるが、新たにEV用バッテリー不足が顕在化している。
各国のメーカーはそれぞれ数兆円も次世代電池に投資しているが、現在の生産量ではとても足りないからです。
日本や韓国や中国は電池増産しているが、増え続けるEVで全然生産が間に合わない。
通常の自動車に使用される安い電池と、EVで利用される高性能リチウム電池は原材料から違う。
高性能リチウム電池はさらにトヨタなどが開発中の全個体電池や、次世代のリチウム電に技術革新される。
量だけあってもそれはこれからのEVに使用できない訳で、世界最先端の性能と品質でなくてはならない。
ロイターなどによるとゼネラル・モーターズは、電池不足のために21年第4四半期のEV販売台数がゼロになった。
これはリコール対象車種にバッテリーを回した影響だったが、余裕はまったくないのを示している。
EV用高性能バッテリーにはリチウムやコバルトが必要だが、リチウムの生産量は『需要の半分』しかない。
オーストラリアやチリのようなリチウム産出国は増産体制に入ったが、リチウム鉱山の新規開発には10年かかるとされている。
今日リチウム鉱山を掘り始めて採掘量が安定するのは2032年なので、今年や来年の採掘量を急に増やせない。
こうなったのは数年前に欧米や中国やインドが一斉に「ガソリン車を廃止しEVだけにする」と発表したからでした。
それらの国の人々はEVで全ての問題が解決すると思ったが、電力供給や電池生産まで頭が回らなかった。
欧州は真っ先にガソリン車廃止を打ち出したが、電力確保のためロシアから天然ガスを輸入し、そのせいでロシアに首根っこを掴まれた格好になった。
EVの敵はガソリンではなく鉱山だった
ロシアはウクライナを侵攻しようとしているが、ロシアからの天然ガスに依存しているドイツなどはこれを黙認しようとしている。
EVの高性能電池には採掘量が非常に少ない鉱物が使用されているが、これの生産量を増やせない事も考えなかった。
「我が国は2030年代にガソリン車を完全に禁止します」と各国の政治家がカッコよく宣言し、電池危機を作り出した。
日本ではEVはほとんど売れていないがハイブリッド車が新車販売の半数も占めていて、EVと同じくリチウムが使用されている。
プリウスのバッテリー容量は1kWh、テスラのバッテリー容量は50kWhから200kWhで値段によって違う。
パッと見てEVはHVの100倍の電池容量があるので、HVはそれほど影響を受けないかも知れません。
EVの生産は今後数年間リチウム不足や電池不足の影響を受ける恐れがあり、GMは既に影響を受けた。
まずリチウム価格が以前の2倍以上に高騰したが、もっと高騰する可能性が高い。
リチウム需要は2030年までに10倍増になり、試算では生産量も10倍になるが「需要の半分しか供給できない」のは変わらないという。
特に影響を受けるのは100万円から300万円以下の低価格EVで、安価なHVとの競争に負ける可能性が高い