ロシアからドイツへ天然ガスを送るパイプライン
画像引用:https://www.eu-logos.org/2020/10/28/nord-stream-2-pipeline-and-its-impact-on-european-gas-market/
ドイツのロシア恐怖症
2022年2月、ロシア軍はウクライナ国境に10万人超の兵力を集め、米高官によると「来週にも侵攻可能」な体制を整えている。
これに対抗して米バイデン政権はNATO軍結集を呼び掛けたが、足並みはそろっていない。
2月7日にドイツのシュルツ新首相がホワイトハウスを訪問し、米バイデン大統領と会談した。
米側はロシアがウクライナに侵攻した場合、建設中のパイプラインを閉鎖して欲しいと要請したが、ドイツは拒否した。
シュルツ首相はパイプライン「ノルドストリーム2」の名前を出す事すら拒否し、ロシアへの配慮を伺わせた。
ショルツはCNNのTV番組に出演し、米国との協力を強調したが、パイプラインに触れる発言は拒否した。
シュルツ首相はテレビ番組で「ドイツとアメリカは団結する」「ロシアはウクライナに侵攻すれば高い代償を」支払うと発言したが、具体的な内容は何もなかった。
先日はウクライナ政府がドイツ政府に兵器の輸出を要請したが、ドイツ政府は拒否しヘルメット5000個を送っていた。
こうした姿勢からはNATO軍招集もドイツは拒否し、おそらくロシア軍が侵攻してもウクライナを支援しないと想像できる。
NATOは加盟国のいずれかが攻撃された場合、全加盟国に参戦義務があり、ウクライナは加盟希望国です。
トルコは正式加盟国で2015年にロシア空軍と軍事衝突したが、米英仏独は難癖をつけて参戦しなかった。
当時トルコは同じイスラム教のISに同情的で、ロシア軍戦闘機はISを追いかけてトルコ領内で爆撃を繰り返した。
ロシアの衛星国家になったドイツ
トルコはロシアに再三警告した後で、11月24日にF16戦闘機でSu-24を撃墜した。
米英仏は先に爆撃してきたのはロシア側だったにも拘わらず、トルコが先に攻撃したとして参戦を拒否した。
このようにNATOの参戦義務とはいい加減なもので、拒否しようと思えばいくらでも難癖をつけて回避できる。
ウクライナは正規加盟国ではないので、ドイツはおそらく参戦しないし協力も拒否しロシアから天然ガスを輸入し続ける。
なぜならドイツは脱原発、脱火力を推し進めたせいで、もうロシアから天然ガスを輸入するしか選択肢がないからです。
ロシアはこの機会にNATOの分裂や崩壊を狙っていて、ドイツの切り崩しに成功している。
フランスはドイツよりもロシアに批判的で、これにはフランスが原発を捨てずロシアへの依存度が低いのが影響している。
イギリスはロシアとパイプラインを引く予定がないが、天然ガスの備蓄がないため値上がりの影響をまともに受けている。
日本はロシアから約2000億円の天然ガスを輸入しているが、全体で年間3兆円以上なのでロシアからは1割以下となっている。
こうした各国の対ロシア依存度が、実際にロシア軍がウクライナに侵攻した時の行動に影響を与える。