不安定なトビの年収
最近国土交通省は国や自治体が公共事業を発注する際の基準賃金「公共工事設計労務単価」を引き上げると発表した。
引き上げは10年連続でとび職人や鉄筋工、大工など51の職種に及び、建設現場作業員の収入に大きく影響する。
とび職人などの基準賃金は全国平均2万1084円になり、25日間働くと月収で約50万円ほどになります。
これが全額貰えるなら建設業の平均年収は全国600万円になるが、中抜きなどが行われるのでもっと少なくなります。
現実のとび職人の平均年収はコロナ以前で393万円だが、地域によって2倍近い格差がある。(とび工の年収|建設業の賃金【2020年版】|アーキブック)
最も多いのは山梨の578.5万円で、栃木の545.9万円、三重の539.6万円、香川の533.7万円と続いている。
低い方は広島の260.9万円、次いで長崎の276.5万円、和歌山の300.1万円、東京都は高い方から6番目の532.1万円だった。
トビ職の年収は年度によって大きく変化していて、景気動向や需給に大きく左右されるのが分かります。
例えば東京都は2010年は530万人だったのに2013年は293万円、2015年は596万円で翌2016年は455万円でした。
2019年は532万円だが他の業界では考えられないほど増減が大きく、稼げる年と稼げない年が極端です。
トビ職人の多くは会社員ではなく個人自営業になっていて、仕事があれば稼げるが仕事がなければ「基本給」はない。
トビとしての仕事が無いからと言って他の現場に行って給料を貰う事も無いので、年収が極端に違う。
仕事があれば稼げるが波が大きい
もっともそれはトビとしての年収なので、トビの仕事が無い間は他の仕事をしているのかも知れません。
全国平均ではそれほど極端ではなく、最近10年でもっとも低い年と多い年の差は50万円程度です。
現実のとび職の求人では「日給1万円から2万円」のように日給で募集していて、月に40万円程度としている場合が多い。
トビ職は高所作業なので高齢まで稼ぐのは難しく、最も高収入になるのは40代で、50代になると収入が下がるし辞める人も多い。
基本的に学歴は不問で仕事があれば短期間に稼げるので、昔から高収入職業として知られている。
特にバブル景気など建設ラッシュの時には、若者が大金を稼ぐことができた。
基本的に一か所で定住してその土地だけで働くより、建設ブームの場所に移動してそこで働くのが合理的です。
建設ブームが起きる理由は公共事業で、集中して公共事業が行われる場所はトビの需要が多く収入も多くなります。
トビ職人と言えばトレードマークなのがあの格好で、ニッカポッカは太ももから膝がダボっとしていて足首は細くなっている。
ニッカポッカは普通のズボンより膝周りが拘束されず、高所作業で安全なので長い間利用されてきました。
だがイメージ上の理由から大手ゼネコンが使用禁止したりして、替わりにニッカボッカではないダボっとした作業ズボンを履いている。
もう一つのトレードマークはハイエースで、工事現場ではハイエースから職人が下りてくるのが朝の風景になっている