中国農業が衰退
中国国家統計局の「農民工観測調査報告」によると、2020年に農民工は前年比1.8%減となり始めて減少した。
政府発表では中国の米、小麦、トウモロコシの自給率は98%だが、にもかかわらずトウモロコシ3000万トン、大豆1000万トンを輸入している。
実際の3品目自給率は政府発表より低く、穀物全体では80%台の自給率だと推測されています。
中国は豚肉の消費量が多いが政府によると豚肉も95%の自給率を保ち、牛肉と羊肉も85%の自給率を保っている。
こうして見ると中国農業は極めて健全なのだが、高い自給率は戸籍制度と貧困で維持されていて、それが最初の農民工につながってくる。
中国には戸籍制度があり、農村戸籍と都市戸籍と言うが要するに出身地の戸籍に拘束される。
雲南省の農民で生まれたら一生雲南省の農民でいなければならず、上海で就職する事はできない。
多くの人はまだこういう制度の下で生きていて、たまたま大都市で生まれた人だけが都会的な人生を送っている。
農村の人が都会に働きに出てくるのが農民工で、従来は完全に非合法であり現在も非合法な存在です。
例えば農民工は有名企業で正社員採用される事は絶対になく、たとえ同じ仕事をしても給料は半額でボーナスも出ない。
社会保険は農村の保険なので都会の金額より少なく、結局出稼ぎ階級より上に上がる事は無い。
都市戸籍を取得できるようになっているが、職業や学歴や収入や信用度など厳しく、上海や北京の戸籍を取るのは不可能です。
中国農業は戸籍制度で維持されている
農村の人が都会に出て農民工になるのは農村が貧しいからで、政府資料で「月収1.5万円が6億人」存在している。
これは親子と1人っ子の3人世帯で平均月収4.5万円、年収50万円以下の人が6億人居るという意味で、中国の平均年収は80万円程度となっている。
6億人の貧困層にも階層があって、統計の法則性からは「月収1万円以下」の層が3億人程度は居る筈です。
年収30万円程度にあたり、年収12万円程度の人も数千万人存在しているでしょう。
中国にも失業率調査があるが農村ではやっておらず、全国平均所得からも農村は除外されている。
農民は市場経済ではないので失業も収入も無く、農作物を食べて生きているからで、こうした制度が高い自給率を支えている。
日本を旅行した中国人が異口同音に言うのが「日本の農村は豊かだ」という事で、都会より大きな家があり自動車が並んでいる。
農村の近くにはコンビニやスーパーがあり、日本の農民は自動車で買い物をしている。
実は彼らが見ている日本の農民は農村から都市部に通勤してる都市労働者や兼業農家だが、中国の農民はこうではない。
自動車は都市の豊かな人の乗り物であり、中国の農村にはスーパーもコンビニもない。
中国でも農業人口が激減していて、いずれ政府が掲げる自給率を維持できなくなるでしょう