ただ撤退しては負けたことになるので、ロシアは何か成果を示したい
戦争の最終目的が変わった
ロシアによるウクライナ侵攻から約1か月たった2022年3月25日、ロシアの発信する情報に根本的変化があった。
侵攻当初ロシアとロシア軍は明らかに首都キエフを含む全ウクライナを支配下に置こうとし、しかもそれは24時間以内に実現できると考えていた。
だが1か月後の3月25日にセルゲイ・ルドスコイ第1参謀次長は「作戦の第一段階の主目的はおおむね遂行された」と不思議な発言をした。
1か月間でロシア軍が占領した都市は1つだけで、それもウクライナ軍の反撃で取り返される可能性が高くなっている。
ロシア軍は国境近くのウクライナの町や村を破壊したが、今までに何も得てはいません。
ロシア軍が失った物は非常に多く、少なく見ても20万人の兵士の1割、戦車や車両の1割、350機の戦闘機の1割、動員したヘリの1割を失った。
一方のウクライナ軍は戦車などの車両をロシア軍から奪ったため開戦時より増え、外国人部隊で兵士も増え、欧米の援助で兵器も増えている。
援助物資が国境を越えて続々と入っており、対するロシア軍は本国からの補給もままならない状況です。
ロシア軍は誘導ミサイル、巡航ミサイル、弾道ミサイルのような高価な兵器を使ってしまい、地上からの砲撃に頼っている。
しかも接近するとウクライナ歩兵にやられるため、都市から距離を取って離れた場所から砲撃を繰り返している。
ロシア軍の火砲は精密誘導されたものではないので、軍事拠点にはまったく当たらず病院や学校にばかり命中している。
公平に見てもうロシア軍に勝利はないし、どうやらロシアとプーチンもこれを悟りつつある。
ロシアはマリウポリ占領を手柄にして戦争をやめたい
ロシア軍は撤退の準備をすると思うが、ただ撤退したのではロシア軍の負け、ひいてはプーチン大統領の負けになる。
セルゲイ・ルドスコイ第1参謀次長は「ウクライナ軍の戦闘能力は大幅に減退した。これにより、われわれは主な目標であるドンバスの解放を達成するための努力に注力できるようになった」とも述べた。
ドンバスとは2014年以降親ロシア勢力が支配している地域で、最初から事実上ロシア側の支配地であった。
ドンバスの中にはウクライナ支配地域も含まれていて、マリウポリもドネツク州に所属しているが親ロシア地域ではない。
ロシアはドンバスつまりドネツク州全域を解放するのが目的だったと言い、未解放の最大都市マリウポリを攻撃している。
3月29日の状況ではマリウポリ市長は「市内のかなりはロシア軍の手中にある」と発言し、包囲され劣勢であると認めた。
マリウポリは人口45万人だったが多くが避難し、現在は16万人が市内に残りロシア軍の無差別攻撃に耐えている。
ウクライナの発表ではマリウポリ市で5000人がなくなり、4500人がロシア領に連れ去られ、把握していない被害も多い。
行き詰ったロシアが核兵器や化学兵器を使用する噂があるものの、これらは軍事的になんら意味をなさない。
化学兵器は民間人が犠牲になるだけで軍事目標やウクライナ軍に効果が無く、核兵器も同様だからです。
だが合理的ではない戦争を始めた人たちが、合理的な理由もなく最終兵器に手を出す可能性もゼロではない