停戦交渉するロシアとウクライナ(2022年3月29日)
画像引用:https://www.themoscowtimes.com/2022/03/29/erdogan-urges-russia-ukraine-end-this-tragedy-a77116 Russian, Ukrainian Negotiators Begin Talks in Istanbul – The Moscow Times
窮地のロシアは体裁を保って戦争をやめたい
ロシアとウクライナの停戦交渉が3月29日に終わり、両国代表は相互の提案を持ち帰って検討する事になりました。
ウクライナはロシア軍が侵攻前、つまり親ロシア勢力支配地まで戻りロシアがウクライナの主権を認めるのを要求した。
また安全保障の枠組みではウクライナはNATOに加盟しないものの、「第三国による安全保障」つまりアメリカとの直接同盟を念頭に置いているようです。
ロシア側の提案はクリミア半島は「ロシア領」で侵攻後に占領した土地については言及しなかった。
安全保障についてはウクライナのNATO加盟を認めず、ロシアの脅威となる兵器を持たないなどの要求をした。
一見すると両者の提案には矛盾が無く、ロシア軍は開戦前の地点に戻り、ウクライナはNATOに加盟せずアメリカなどと2国間同盟を結べばいい気がします。
相違点はまず提案には書かれていないものの、プーチンはロシアとウクライナの「歴史的な一体性」を主張し、ロシアの物だと言ってきました。
NATOに加盟せずアメリカと直接同盟あるいは他の組み合わせでも、欧米とウクライナの同盟になるでしょう。
これが実現するとロシアは今回の侵攻敗北を認める事になり、2022年2月からの戦いはまったく無意味な作戦だった事になる。
それで困るのはプーチン大統領で、ロシアでは自分は全能の神であるかのように振舞い、カリスマ性で地位を維持してきた。
プーチンの希望はマリウポリなど最東部の都市を占領して「戦果」を誇示し、内容はともかく勝利で戦いを終えたい。
その為の激戦が現在ウクライナ東部で行われていて、おそらくマリウポリを制した者が勝者になる。
マリウポリを制した者が勝者
停戦交渉は29日に終了したが互いに結論は保留し、持ち帰ってプーチン大統領やゼレンスキー大統領らが検討する事になった。
ところで欧米のNATO加盟先進国はウクライナを経済・軍事面で支援しているが、一方でウクライナが要求する兵器は拒否している。
ポーランドなどは旧ソ連製戦闘機70機をウクライナに無償提供すると申し出たが、米英独仏が引き渡しを妨害しやめさせた。
強力な火砲やアメリカ自慢の戦車、戦闘ヘリなどの供与も拒否し、「手で持てる物」しか渡していない。
これはロシアへの配慮で、ロシアが米英などを攻撃したりウクライナで核兵器を使用するのを警戒していると説明している。
だが相手に恐怖心や脅威を与えることが抑止力であり、自衛の装備で侵略を防げないのはロシアとウクライナが証明した。
欧米の報道によると専門家などの分析でロシア軍は最大1日3兆円の戦費を使い、1兆円以上の日が多いとしている。
これは装備の損失を含めた金額で、開戦当初は一日数千億円だったが損失が増えてから1兆円以上を使っている。
この戦費には捕獲や撃破された戦車、撃墜された戦闘機など過去の支出が含まれ、1万人以上と言われる兵士の損失も含まれる。
ロシア軍が2月26日に発射したミサイル52発の合計は3億4000万ドル(約418億円)だった。
ロシアのGDPは侵攻前で160兆円(1ドル110円)今後は100兆円以下になると予想されるので、到底払える金額ではない。
具体的には失われた装備などの補充や再生産ができず、高価な装備はもう調達できなくなります