ドイツの発電比率(緑が再生エネ)、再生可能エネルギーだけでは国が破綻するのが分かってきた
画像引用:https://www.de-info.net/kiso/atomdata01.html ドイツのエネルギー源別発電量の推移 – ドレスデン情報ファイル
ドイツが陥ったエネルギー「一本足打法」
一本足打法とは野球の王貞治がホームラン世界記録を達成した打法で、片足を高く持ち上げて一本の足を軸に身体を回転される打ち方です。
非力なアジア人が遠くに飛ばすのに向いているが、変化球などに対応しずらくアメリカでやる選手は少ないと言われている。
以来「一本足打法」はどちらかというと、何かに頼りすぎた間違った方法の例えとして引用されるようになりました。
エネルギー一本足打法で大失敗をやらかしたのがドイツで、自然エネルギー以外すべて不要だと言い、原発を廃止し火力も縮小しました。
メルケル政権のドイツは大半のエネルギーを太陽光と風力だけで賄う計画を立て、足りない分は格安のロシア製天然ガスで補おうとしました。
だが2020年の新型コロナ、続くインフレ、22年のロシア軍ウクライナ侵攻を経て、エネルギー価格が高騰しドイツの電気代は2倍に跳ね上がった。
間の悪い事にドイツの原発は22年12月で全て廃炉が決定していて、政争の具であるため政府は再稼働を絶対にしないとしている。
2035年にドイツ国内の全電力を再生可能エネルギーで賄う計画だが、2020年現在は46%でこのうち3.3%は既存の水力発電でした。
7.6%は木材を燃やすバイオマス発電ですが、言い方を変えると木という燃料を燃やす火力発電に過ぎません。
現状でドイツの発電量の50%以上は化石燃料で、しかも自動車や工業機械の多くもガソリンエンジンなどで稼働しています。
なので今の時点で「100%再生可能エネルギー」を口するのは時期尚早で、メルケルは現実ではない夢を語っていました。
その夢はエネルギー価格高騰で破綻したが、化石燃料が高騰した時こそ、脱化石燃料化が進んでいるドイツの勝ちパターンの筈でした。
火力発電の代替に注目される水素とアンモニア
発電とかエネルギーは単純に「火力を廃止して太陽光」にはできず、それそれの限界や役割分担があります。
まずドイツ発電の再生可能エネルギー45%のうち30%くらいは太陽光と風力だが、風任せ太陽任せで出力調整ができません。
原発は調整できるが年末で廃炉だし、原発は分単位秒単位の調整に向いておらず、安定して100万キロワットなどの発電を担当します。
発電量の微調整は現状で火力しかできないので、仮にドイツが100%再生可能エネルギーで発電できるとしても、100%にはできないのです。
ドイツの発電網は日本に近く、ある地域の送電網は別の地域と独立していて、基本的に自給自足しなくてはならない。
ベルリン近郊でたまたま風がなく太陽が出なければ発電量が極端に落ち、管制システムや病院などの電力が止まって患者が全員なくなって、飛行機は墜落してしまいます。
こんなばかな事にならないように、結局の所発電量の半分以上を火力や原子力など調整可能なシステムで賄う必要があります。
仮にまったく使わなくても予備電力として半分程度の発電能力を確保しないと、電源喪失した福島原発みたいになります。
この調整可能な発電として注目されているのが水素とアンモニア発電で、両方とも電力を使って精製し、必要な時まで保存可能です。
電気は発電したらすぐ消費しなくてはならず、バッテリーで全ての電力を保存できない欠点があります。
そこで余剰分の電力で水素やアンモニアを精製して置き、タンクに貯蔵しておいて火力発電のように必要な時に電力に変換します。
こうした代替燃料はF1のようなレーシングカーでも注目され、混合燃料として既に一部で使用されています。
これらは再生可能エネルギーと対立するものではなく欠点を補う物なので、「どちらが優れている」という議論はあまり意味がない