若い有権者が中絶禁止に拒否反応を示し民主党に投票した
画像引用:https://www.gloria.hr/gl/scena/zvjezdane-staze/slavne-dame-pridruzile-se-tisucama-zena-koje-su-u-washingtonu-prosvjedovale-za-pravo-na-abortus-15107266
勝ったのにお通夜のような共和党
2022年11月8日に実施された米中間選挙で上下両院の投開票が行われ、下院は共和党が多数を占め上院は集計中となっています
12日現在も開票は終わっておらず残りは3州で、ネヴァダ州は接戦、アリゾナ州は民主党優勢、ジョージア州は12月6日に再投票する
これまでに確保している議席は民主党が48で共和党が49、残る3州で2勝した方の政党が上院で勝利する
民主党は共和党と同数の50議席なら議長を兼ねる副大統領が決定票を持つので、同数でも勝利だと考えている
一方共和党は民主党と同数では議長権限があるため、民主党より多い51議席を取らないと敗戦だと考えている
アリゾナは民主党で決まりそうなので残り2州、それぞれ1州づつ当選したら上院は民主党勝利になります
下院もまだ未決定の州が残されているが民主193、共和211と共和党勝利、共和党は悪くても下院で勝利し上院も同数を得るでしょう
だが共和党内では中間選挙の敗因をめぐって責任のなすりあいが起きているとCNNは伝えている
米上院の共和党トップ、マコネル院内総務、トランプ前大統領、マッカーシー下院院内総務などが戦犯とされたり不満を表明している
全国共和党上院委員会(NRSC)のスコット委員長は中間選挙前52議席から55議席獲得という強気の予想を建てていた
一方バイデン大統領は敗戦は確定的だと報じられ次の大統領選挙には出馬しないだろうとメディアは予想していた
こうした予想はどちらも空振りに終わり下院は共和党勝利だが僅差、上院で同数なら民主党の「大勝利」と受け止められている
共和党の敗因は中絶禁止と政府支出削減
共和党の足を引っ張ったのは5か月ほど前の6月24日に米連邦最高裁判所が下した人工妊娠中絶禁止の決定で、共和党は中絶禁止、民主党は中絶再開と別れた
米連邦最高裁判所の裁判官はトランプ大統領時代に保守派裁判官に入れ替えられていて、共和党やトランプの意向に沿った判決を下した
全米で中絶禁止への抗議運動が起きたが世論調査では共和党支持が優勢だったので、共和党幹部はこの反対運動を軽く考えた
実際の投票結果では共和党投票者は中高年が多く民主党支持者はZ世代と呼ばれる若者で、多くの若者は中絶禁止に拒否反応を示した
自分の権利が制限されるのに拒否反応を示すのは自然なので、なぜ共和党が事前に予測できなかったのかが分からない
中高年はもはや自分や妻が妊娠する事はないので他人事と考えたが、妊娠現役世代にとっては自分自身の事なので受け止め方が違った
もう一つの中間選挙の争点はインフレ対策で、民主党はFRB政策金利の利上げだけでインフレ対策するというぬるい方法でした
対する共和党は利上げに加えて政府支出削減を打ち出していて、インフレを抑えられる代わりに米経済はかなり不況になる
かなりのアメリカ人は「不況よりインフレのほうがマシ」と考えて民主党に投票したと思われ、ここでも共和党は世論を読み間違えました
政府支出を削減すると低所得者層への補助金や給付金の類がまっさきに削減されるので、貧困層は民主党に投票したと思われる
中絶禁止とインフレ対策でもう少し穏やかな方針を示していたら、両院で共和党が勝利していたでしょう