テスラがEVに占めるシェアは2008年に100%だったが21年は14%(PHV含む)で現在も低下している
画像引用:https://www.tesla.com/roadster
飛ぶ鳥は落ちた
米EVメーカーテスラの株価が急落し最高値から半減、21年11月5日に407ドルだったのが22年12月14日現在は156ドルになっている
テスラ株は1年前の38%になったということで単なる減速というよりは日産ルノーのゴーン逮捕のような崩壊が起きているのかも知れない
1年前のテスラはトヨタを越えたと評判で2020年7月1日にテスラの時価総額が2105億ドル(約22兆6000億円)になり21兆7185億円のトヨタを抜いた
ちなみに22年12月14日現在はテスラ4913億ドル(66兆円)でトヨタは33兆円(1ドル約135円)なのでちょうど2倍の差がついています
株価下落の要因は他社のEV販売台数が増加しテスラのシェアを奪うとともに、中国市場でのシェア低下と販売台数減少を予想されているためでした
具体的にいうとテスラは中国EVメーカーで販売台数3位で、22年10月は比亜迪(BYD)が20万台で1位、上海汽車集団が9万3000台で2位、テスラは8万3000台だった
EVとPHVの新エネルギー車は中国の新車販売台数のなかで2割を占めるが、自動車関連税の優遇で10%安く買えるなど政府の優遇策が大きい
優遇措置はEV普及に伴って縮小や廃止されるので、その後はこれほど急速に伸びないと予想されています
中国におけるテスラの弱点は価格の高さでモデル3の最も安いグレードでも約540万円、BYDは見た目がテスラとほとんど同じEVを250万円で販売している
中国の他メーカーは100万円台やさらに安い軽自動車的なEVを販売していて、価格競争でテスラには勝ち目がありません
テスラの上海工場は22年11月に過去最高の10万台を生産したがこれは中国で売れたのではなく、欧米に輸出する分も含まれています
テスラは生産コストと比べた販売価格が非常に高く、これが高い収益性と高い株価を支えていました
テスラの希少性が高い利益を生んだ
テスラは中国では国産メーカーの低価格攻勢に敗れたが、今後欧米など他の市場でも他社製低価格EVに販売台数で敗れると予想されている
日産・三菱の軽EVサクラは233万円(補助金適用前)で市場は日本だけですが、軽自動車で実現した技術はその後より大型の自動車で普及する傾向があります
元々360㏄のおもちゃのような車を作っていた日本メーカーがその後世界を制したのは周知の事実で、世界の人々は低価格や高品質を評価した
自動車は搭載空間が限られているため大型車ほど製造が容易で小型車ほど難しくなり、軽EVはあらゆるEVでもっとも難易度が高い
サクラの技術は1L(ではないが)や1.5Lクラスの車にも搭載され、安価で信頼性が高く「そこそこの性能」の車として世界で販売されるでしょう
テスラは最も小型のモデル3でも1.8トンもあり、製造や廃棄や走行時の道路に欠ける負荷等を考えると、1Lクラスのガソリン車より環境に悪い
今は「EVはすべて素晴らしい」というEV原理主義によって守られているが、やがてその魔法は溶けて単純に性能と品質と価格で評価されるようになる
日産サクラの重量は1070キロでワゴンRが約800キロなので、やはりEVはバッテリーの分ガソリン車よりかなり重くなっている
テスラの高い株価の源は高すぎる車両価格がもたらす恩恵なのだが、日米欧市場でももっと低価格なEVが市場を奪う事によりテスラは値下げを余儀なくされ同じ競争条件になる
テスラの販売1台あたりの利益は9,761ドルでトヨタは1000ドル程度、裏返すとテスラはその希少価値によって100万円以上も本来の価値より高く売られている
S&PはEV需要は5万ドル未満の車種に移行し、この価格帯に商品を持っていないテスラは徐々にシェアを低下させるだろうと予想している