前年比2倍超の販売数
EV(PHV含む)は2021年に世界で前年比2.2倍となる660万台を販売し、22年前半も前年比63%増の420万台を販売し通年では1000万台に達すると予想されています
21年EV販売に占めるBEV(エンジンなし)は7割を占め、22年上半期の世界EVシェア1位はテスラではなく中国のBYDだった
シンガポールの市場調査会社カナリスによると22年上半期のBYD世界シェアは15%でテスラは14%、下半期は差が開く可能性が高い
中国EV市場でテスラはメーカー別販売台数が3位の常連で1位は常にBYD、欧米市場でテスラは1位であるもののドイツなど欧州メーカーがシェアを拡大している
S&P・モービリティーによるとテスラは今後競合他社の低価格製品が増えるに連れて、シェアを低下させる可能性が高いと分析している
S&Pは「テスラより手ごろな価格で選択肢が増えテスラの魅力は低下している」として現在のシェアを維持できなくなると予想した
実際テスラのシェアは初代ロードスターが登場した時点で100%だったが、22年は135万台販売したとして13.5%に縮小します(テスラ135万台でEV1000万台で計算)
ここで思い浮かぶのはスマホのiPhoneで、2007年に初代が出た時点でスマホシェア100%だったが現在は17%に低下している
アップルのスマホシェアは10%を割り込みそうになったがサービス向上などで乗り切って、最近は他メーカーが苦戦する中でシェアを伸ばしている
スマホは輸出障壁が少ない商品で、「国産スマホを守るために輸入を制限」するような国は米中対立を除けば存在しない
自動車はこれとは違い多くの国が自国で生産する自動車を優遇し、税制や排ガス規制や安全規制を理由に外国車を差別している
アメリカでは米国産車、日本では日本車、欧州では欧州産車、アジアでも経済規模が大きい国ほど自国で生産した車の販売を優遇しています
EVはバブルか新たな支配者か
これがスマホと自動車の違いなので2000年代後半に言われたような「車がスマホと同じになる」未来は永遠に来ません
テスラは今アメリカと中国で生産しているがドイツに新工場を稼働しメキシコに工場を作る計画で、販売する国や経済圏で生産する必要に迫られています
トヨタやVWやGMやフォードが世界中で売れるのは世界中で生産しているからで、理由は合理性とかではなく各国政府が国産車を優遇するからです
テスラが全世界の主要国でトヨタやVWのように生産するのは不可能で、iPhoneのように大きな拠点で世界中で売るテスラを製造しなくてはならない
トヨタやVWやBMWのEVは技術的にテスラより遅れているかも知れないが、各国政府はテスラより自国で生産した自動車を優遇します
こうしたメカニズムでテスラの世界シェアは年々低下していて、数年で10%を割り込みさらに低下するでしょう
EVにはもう一つの懸念があり、それはスマホがある年を境に販売数が急減したように、EVもいつかは失速する時が来るでしょう
楽観的な予想ではEVはこのままガソリンやディーデルにとって代わり、その後自動車そのものの販売台数がEV販売台数になる
悲観的な予想では最近のEV販売急増はバブルであり、ビットコインのように急減し化けの皮が剥がれるとも予想されている
2019年以前のEVは毎年6割の成長率だったが21年はコロナ特需で2倍以上、これはロシアのウクライナ侵攻でガソリン価格が高騰した影響が大きかった
同時に半導体不足から部品数が多いガソリン車の生産台数が減少し、世界中でEV特需が発生し短期間に前年の2倍超も売れました
今の時点で全世界の全員がEVを欲しがっているかというと、購入者は政府が多額の補助金を出し充電設備が整備されている国だけです
日本はEV補助金がそれほど多くなく充電設備がほとんど無い状況なので、EVは不人気であまり売れていません
EV補助金は結局国民の税金で支払うものなので、各国は永遠にEV支援する事はできないでしょう
EVを巡って出火や故障が頻発し修理代がとんでもなく高額、車そのものの寿命も少なくともトヨタガソリン車よりかなり短いのが明らかになっている
これらの欠点は購入したユーザーが多額の負担をしている事になり、時間の経過によってEVへの評価は厳しくなるでしょう