この人が吠えている間は噛みつかないが、中国が「平和」「友好」などと言いだしたら攻撃準備をしている
画像引用:https://news.livedoor.com/article/detail/23517886/ 中国「戦狼外交」の象徴、外務省報道官が異動 国境担当へ – ライブドアニュース
トラは襲う前に身を隠す
中国の人事異動で戦狼報道官として有名だった趙立堅・外務省副報道局長が、国境海洋事務局の副局長というどうでも良い部署に異動となり話題になっています
中国政府の代表者として欧米メディアの前で話す報道官は花形ポストであり、女性の華春瑩が長く同ポストに就いていた
華春瑩は中国外交部報道局局長に昇任し2019年頃から中国政府が戦狼外交を掲げたのと同時期に、趙立堅が報道官として外国人記者会見に登場した
華春瑩はウイグル、チベット問題を「捏造だ」などと否定する事が多く、欧米への「強烈な不満」を表明し日本には過去の反省などを要求する事が多かった
趙立堅はより攻撃的な言葉遣いが多く、台湾に対しては武力行使を予告したり日本や欧米に対しても不満を述べるだけでなく攻撃的な姿勢を取っていた
戦狼外交は2017年頃に始まった概念で王毅外交部長が主導し、王毅は23年1月に中央外事工領導弁公室主任へと昇進している
王毅の子分格が趙立堅報道官だったので、趙立堅の「左遷」は戦狼外交の行き詰まりと修正を現わしていると欧米メディアは分析しています
戦狼外交は2017年に就任したトランプ米大統領の対中制裁に呼応したもので、米国の制裁に対して力を誇示すればアメリカはひれ伏すだろうと中国では考えられていた
中国は民主主義国ではないので情報があっても民主国家の世論や心理が分からず、多くの場合間違った対応をする事になる
これは旧日本を考えると分かり、山本五十六と日本の指導部は米艦隊を壊滅させればアメリカは和平を希望し戦争はそこで終わると考えた
実際には真珠湾で太平洋艦隊が壊滅するとアメリカは本気を出し、日本が避けたかった長期戦に持ち込まれ最後は惨敗した
最大の敗因は当時日本は陸軍の軍事政権だったため民主国家の心理が分からず、「わが軍の強さにアメリカはひれ伏すだろう」と考えた事でした
台湾攻撃の意図を隠す「平和外交」のほうが危険
中国の戦狼外交もそのようなもので「我々が吠えればアメリカは恐れて謝罪して来る」と考えたが、実際はやればやるほどアメリカは制裁を強化した
トランプは2020年大統領選に敗れて失脚し民主党のバイデンが新大統領になり、下馬評ではバイデンは「中国のスパイ」で対中制裁を解除すると思われていた
実際には解除された分野も一部であったものの、むしろ大部分の対中制裁は強化されアメリカ軍も中国への対決姿勢を強めている
バイデン政権は同盟国に働きかけドイツや日本の国防費倍増に成功し、全体としてアメリカ陣営はかなり強化されます
戦狼外交の一環で中国は21年から22年にかけて「今すぐに台湾を武力侵攻する」のような発言を繰り返していた
ロシアは22年2月にウクライナに侵攻したが、その前はむしろ中国の台湾侵攻が現実味を持って語られ「ロシアは侵攻しない」という見方が多かった
一般的に他国を本当に攻撃するつもりの国はその意図を隠そうとし、「平和」や「協力」を口にして相手を油断させようとします
逆に他国を攻撃するつもりが無い国は、やはりその意図を隠すために「いつでも征服できる」「明日にでも攻撃するぞ」などと言います
北朝鮮が後者の典型で、実際に北朝鮮が韓国を攻撃すると負けるのが分かっているので、それを隠すために「いつでも攻撃できる」ように振舞います
中国が「いつでも台湾を占領できる」と連呼する理由は軍事常識では「中国は台湾を占領出来ないし攻撃もしない」という意味になります
本当に中国が台湾を占領したいと思っていて近いうちに攻撃するなら、その意図を大声で触れ回るのは自分を不利にするだけだからです
という訳で中国が戦狼外交をやめ穏健外交に転向すると、もしかしたら台湾攻撃の意図を隠すために欧米や日本を油断させようとしているのかも知れません
国際社会とはそんなものです