日英円滑化協定(RAA)は今までも可能だった軍事協力の手続きを簡略化した
イギリス軍が日本に駐留する訳ではない
訪英した岸田首相はロンドンでスナク首相と会談し、自衛隊と英軍が相互の軍隊を派遣しやすくする「円滑化協定(RAA)」に署名した
この署名をめぐって日本国内では日英同盟が復活と言われたり、外国では「イギリス軍が日本に駐留する条約に署名した」と言われたりしています
日本が「円滑化協定(RAA)」を締結したのはオーストラリアに次いで2国目だが、なぜかオーストラリアの時は話題になりませんでした
2022年1月6日に岸田首相と豪モリソン首相は円滑化協定(RAA)に署名し、「特別な戦略的パートナーシップ」を結んだと発表していました
円滑化協定は軍事支援を含むが軍事力行使や防衛義務や参戦義務はないので、日米安保条約やNATOのような軍事同盟ではない
日米安保は日本の脅威に米軍と自衛隊が共同対処する事になっていて、NATOは加盟国が攻撃された場合に全加盟国に参戦義務があります
中国とロシアと周辺国の間にも軍事的な条約が存在するが、参戦義務はなく例えばロシアが他国に攻撃されても他のどの国にも参戦義務はない
日本が豪英と交わした円滑化協定はさらに緩やかなもので、3か国の軍隊が互いの国で訓練したり協力をする手続きを簡略化した程度です
2011年に東日本大震災で各国の軍隊が被災者支援を申し出た時、菅直人は「外国の軍隊が地震を利用して日本を占領しようとしている」と言い妨害しようとした
このように日本に大災害が起きたり他国に侵略されたとき、外国と協力するかどうかはその時の権力者の「気分次第」でした
具体的には豪英軍が日本で訓練や活動をするときの入国審査などを免除し、武器弾薬の持ち込み手続きを簡素化するなどが盛り込まれている
もちろん日本の自衛隊が豪や英で活動することもあるが、当面の危機はロシアと中国から日本や台湾を守る事だと認識されている
中国の台湾侵攻を防止するには日本が不可欠
中国は台湾に侵攻すると予告していて本当に実行するか定かではないが、もし中国が台湾島を占領すると日米欧の先進国は大打撃を受けます
中国海軍は太平洋に面した巨大な「軍事要塞」を手に入れるので、ハワイやカリフォルニアやグアム沖で自由に活動できる
中国海軍が台湾島を拠点に日本列島を包囲するのも可能で、太平洋側から日本を海上封鎖し「併合」するのも可能になります
台湾島にこういう意味があるので日米は真剣にならざるを得ず、アメリカ軍は日本を軍事要塞化して中国に対する防衛線を構築します
地図を見ると大陸で封鎖されている中国を包囲するように太平洋側には民主主義陣営の国が並んでいて、日本列島からフィリピン、インドネシア、マレーシアまで続いている
このうち中国はどれか一つでも併合すれば太平洋に進出でき、島国による中国封鎖を解くことが可能になります
特に規模が小さく脆弱なのは台湾で、国連に加盟しておらず(自ら脱退した)どの国とも軍事同盟を結んでいません
アメリカは台湾を軍事支援しているが同盟関係にはなく、台湾が要求している最新兵器の輸出は頑として拒絶しています
理由はウクライナ支援と同じく「中国を刺激するから」で、アメリカが台湾に輸出するのは常に一時代前の旧式装備でした
アメリカは同盟国と非同盟国で明確な差をつけていて、正式な同盟関係を結んだ国には最新兵器を輸出している
中国が本当に台湾に侵攻した時、アメリカ軍は日本の基地を拠点に出撃し台湾を支援するが、おそらく米中の直接戦闘を避けようとします
アメリカ軍は日本や英豪と共同で太平洋側と日本・フィリピン側を防衛し、中国は大陸正面から台湾軍と衝突するでしょう
台湾は無数の対空ミサイルと対艦ミサイルを保有しているうえに、アメリカは台湾防衛の装備を支援するので、結局中国は台湾侵攻に失敗します
そのためには日本を民主主義陣営の不沈空母として活用するのが不可欠で、もし日本が台湾防衛に協力しなければ中国は台湾島占領に成功するでしょう
実はこれは日本にとって悪い話ではなく、実際に中国が台湾侵攻をしないなら、日本は自由主義陣営の主要国として優遇される