逮捕されたハインリヒ13世
画像引用:https://www.wunc.org/2022-12-07/germany-says-it-foiled-a-far-right-coup-plot-heres-what-we-know
ドイツ政府転覆計画で25人逮捕
ドイツで2022年の12月にクーデター計画が発覚し現職の裁判官ら25人が逮捕されたが、その中に旧ドイツ帝国の王の末裔も含まれていた
ドイツ皇帝は1806年にに神聖ローマ帝国が崩壊した後、1871年にヴィルヘルム1世が即位して始まるが、明治元年が1872年なので歴史は非常に浅い
ローマ時代は皇帝の元で各地に王が存在し王の下には土地を所有する領主が存在し、ロイス家もそうした領主のひとつで「ハインリヒ」という家名を名乗っている
欧州の貴族と日本の大名は異なる存在で、大名や武士は天皇・将軍から土地の管理を命じられるが決して土地の所有者でも領主でもない
欧州の王や皇帝は外国に自分の領地を売ったりするが、日本の将軍や大名は(自宅以外の)土地を所有していないので売る権利がない
ハインリヒ13世という名前のロイス家の末裔が今回のクーデターの中心人物で、ドイツ連邦共和国の存在を否定し、新たな国家を建設しようとした
ドイツ東部チューリンゲン州の山奥にヴァルドマンスハイル城という幽霊屋敷のような石の城があり、グループは城に集まって密議を行った
ドイツ警察は計画を察知しオーストリアやイタリアを含む150カ所を警官3000人が家宅捜索し、12月初めに25人を逮捕した
近所の人によるとロッジの中で明かりがつくのは見たことはあるが、人の出入りには気が付かなかったという
ヴァルドマンスハイル城は目立つ正面玄関からではなく、墓地の裏側から森の中を通って城のわき道から中に入る事が出来た
グループは2021年11月にクーデターの計画を始め、王政を復活させて軍隊を作り、誰がどの大臣になるかという事を話し合っていた
ハインリヒ14世(13世とは別人)によると彼は一族のつまはじき者で陰謀論や反ユダヤ論に傾倒し、ロイス家から絶縁されてていたという
クリスマスに議会襲撃を計画
13世は若い頃レースが好きだったので「レーシング・ハインリヒ」と呼ばれていたが、不運続きで次第に社会を恨みひねくれていった
ロイス家は何百年もヴァルドマンスハイル城を所有したが大戦後に東ドイツの共産党政権が全ての資産を接収した
ハインリヒ13世には重病の娘がいて不動産業は成功せず、東西統一後に共産党に接収された資産を取り戻す訴訟にも敗れた
クーデター計画には現代のドイツ連邦共和国が違法に建国したとする極右団体「ライヒスビュルガー(帝国市民)」のメンバー数人が関わっていた
BBCによるとライヒスビュルガーの信奉者は2万人以上で、そのうち10%は暴徒化する恐れがあると考えられている
クーデター計画には極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の元連邦議会議員やドイツ特殊部隊関係者、元警察幹部。裁判官も含まれていた
AfDのヴィンケマン元議員は法務大臣になる予定で、連邦議会の構造を良く知る同議員の知識に基づいてクリスマスまでに議会を占拠する予定だった
米大統領選に関係してトランプ候補の支持者がやはり議会を占拠しようとしたが、ドイツやアメリカのような「完全な民主主義国」では議会を占拠すれば権力を握れる
ウクライナの民主化テロが2014年に議会を占拠して勝手に大統領になったが、議会占拠は民主主義の盲点と言える
日本やイギリスは大統領が存在せず王や天皇が首相を任命するので、議会という建物を占拠しても何も起きない
ハインリヒ13世のグループは議会襲撃について話し合ったが会話は盗聴されていて、12月7日の一斉摘発に至った