食糧が不足し中朝貿易を再開したらコロナウイルスも一緒に入国した(写真は21年4月、中国に乗り入れた北の貨物列車)
画像引用:https://www.fsight.jp/articles/-/49266 中朝貿易の「変化」が示唆する中露の政策転換:三村光弘 _ 記事 _ 新潮社 Foresight(フォーサイト) _ 会員制国際情報サイト
中朝貿易再開で新型コロナが流行
北朝鮮では今3つの深刻な危機が進行していて一つは中国からもたらされた新型コロナ流行、二つ目は食料不足、三つ目はロシアへの兵器輸出とミサイル発射など軍事的危機です
3つの危機は互いに関連していて北は過去の核開発とミサイル発射によって国連安保理の制裁を受けていて、多くの物資を輸出も輸入もできない
化学肥料は爆発物に成りえるので北への輸出を禁じられていて、兵器や弾薬など軍事物資の輸出入も禁止されています
北朝鮮の輸出入の9割以上は対中国で両国を乗り入れている鉄道によって輸送され、公然と安保理決議に違反し続けている
だが2020年に中国で新型コロナが流行した後北朝鮮は中朝国境を閉鎖し、中国を上回る”ゼロコロナ”で流行を封じ込めていた
22年9月に中朝間の貨物列車が再開されたが12月に中国で人口の半数が感染する大流行があり、当然列車に乗ってコロナも北に入ってきた
21年の中朝貿易総額は3億1611万ドル(約455億円)で19年の約11%、しかも21年の貿易品は北朝鮮が電力を送電するようなものが多かった
電気と人民元の交換なら列車が運行する必要はないが、日用品や工業製品を輸出入するには多くの人が相互に相手国に行く必要があります
北朝鮮当局は23年1月25日、平壌で呼吸器疾患のため5日間のロックダウン(都市封鎖)を命じたが、新型コロナが流行していると想像できます
中国では12月1日から123年1月半ばまでに大都市の「6割から8割」が感染し、既に13億人の半数以上が感染したと分析されています
北は中国からワクチンを少数輸入しているが接種するのは金正恩と階層上位の人だけで、国民2500万人のほとんどは未接種です
西側専門家によると北朝鮮には集中治療室(ICU)はほとんどなく、新型コロナを治療できる病院もほとんどない
食糧危機と安全保障危機
政府はコロナ流行を認めておらず平壌以外の都市も封鎖されているのかは不明だが、20年には中朝国境の村で感染者が出て村ごと隔離していました
北朝鮮国内で食糧が不足していて米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」は穀物在庫が最低必要な80%しかないと指摘した
また北朝鮮の穀物価格は国際価格比1キロ当たり0.5ドル以上高く、2009年の観測開始以来最大の差になった
21年秋に紙幣を印刷する紙とインクが不足し紙幣代用書が流通し、主食のコメと代用食品のトウモロコシ価格が高騰した
これほど北朝鮮の食糧事情が悪化したのは金正日時代の「苦難の行軍」以来で当時100万人前後が食糧不足でなくなったと言われている
中国からの情報では北朝鮮は中国の貿易会社数社とコメの購入契約を結び、22年12月から中国・大連の港を通じて輸入を始めた
23年6月までに計50万トン程度を北朝鮮に運ぶ予定で、通常北朝鮮の年間コメ生産量は200万トン以上なので「必要量の8割しかない」という報告と一致しています
他の穀物収穫量はトウモロコシが221万4000トン、ジャガイモが37万7000トンなどだがそれらも不作か食べ尽くしたようです
合計の穀物生産量は2013年から17年は500万トン以上だったが、安保理制裁で科学肥料などを輸入できなくなり18年に500万トンを割り込んだ
以前食糧危機の時にアメリカは核開発を一時停止する見返りに穀物を大量に支援したが、北はそれを中国に転売しまた核ミサイル開発資金にした
食糧支援してもこうい事をするので国民に届かず、ミサイル開発の資金に使われてしまう
だから北朝鮮に援助はできないのです