日本ではリスクを冒した人を非難する(長野県小谷村 23年1月29日)

リスクを認めない日本
昔小沢一郎氏が政界の黒幕と呼ばれていた頃に『日本改造計画』を出版し、グランドキャニオンには柵がなく日本は柵だらけの国だと書いていました
最近ユーチューブで投稿されたアメリカ旅行者の動画を見ても、やっぱりグランドキャニオンには転落防止柵がなく「毎年転落者が出ている」と言っていました
アメリカでは高山が多く登山者や冒険者も多いので毎年多くの遭難事故が発生しているが、それで何かを禁止しようという議論自体が起きない
日本でもし富士山で毎年100人がなくなったら、日本政府は富士山そのものを立ち入り禁止にするでしょう
23年1月30日に新潟県の妙高連峰で、バックカントリースキーをしていたフィンランド国籍の男性4人が遭難し自力で下山した
同じ日に長野県小谷村でバックカントリーをしていた外国人4人が雪崩に巻き込まれ2人が心肺停止の状態で発見された
日本の多くの世論は「雪山を舐めた結果」など否定的だったが欧米では「リスクを取るのはその人の権利」という考え方をする人が多い
欧米の多くの国では山岳救助は有料で捜索隊や救急ヘリも有料、アメリカでは輸送手段によらず「1キロ1万円(100ドル)」かかる事が多い」
CSのドキュメント番組でアラスカのトラック運転手が急病でヘリで輸送され、約200キロ離れた病院に搬送され2万ドルの借金を背負っていた
リスクを負うのは自己責任で借金も自分持ちがアメリカ社会、一方日本ではほとんどの捜索や救助が無料で救急ヘリが有料など考えられない
数年前にキャンプ場で行方不明になった子供がその後キャンプ場裏の山から転落したのが発見されたが、警察や捜索隊が2年半捜索して無料だったと思います
むろんアメリカでも遭難当初は警察やボランティアが捜索するでしょうが、それ以上探したければボランティアを募集するか金を払わなくてはならない
2013年に富士山の山頂付近で滑落事故があり静岡県の要請で静岡市消防局のヘリコプターが救助に向かったが、悪天候などで吊り上げ中に落下させた
遺族は2年後に静岡市を相手に約9200万円の損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした
この事件のおかしさは静岡県など自治体が「勝手に救助した」のと救助される側はそれお「当たり前だ」と思っていた事にあります
勝手に救助するのは迷惑?
標高3000メートルの山に勝手に登山して勝手に遭難した人を、関係のない地元自治体が「無料で救助するのが当然」と思っている人が大勢います
長野県のバックスキーヤー遭難でも地元警察や消防やボランティアが「無料で捜索し救助するのが当たり前」として出動し、一部の人は夜間に捜索を打ち切ったのを非難した
あるいは新潟や茨木には釣り人に人気の「魔の防波堤」があり、釣り人が波にさらわれるたびに捜索や救助しフェンスを張って防止したりしている
外国でも転落したら探すでしょうが無料とは限らず、事故を防止するためのフェンスは設置しないでしょう
危険を冒すのもその人の権利だからで、大抵の価値あることには何かのリスクがつきものです
エベレストは毎年10人くらい登山者がなくなっているが、誰もエベレストを立ち入り禁止にするべきだとか、ネパール政府が無料で救助しろとは言わない
勝手に救助しておいて遭難者が出たから立ち入り禁止にするとネパール政府が言い出したら、世界中の登山者はネパールを非難するでしょう
テレビで新潟東港のフェンスを乗り越えて釣りをする人にインタビューしたら「釣りでしねたら本望だ」と答えていたが、日本政府や日本社会はリスクを貸す権利を認めない
遭難者を自治体や国が「勝手に救助したり」、リスクを冒す権利を制限するのは余計なお世話の場合があります
ある時日本最高峰の4輪レース中継を見ていたら、有名監督が「煽って追い抜いた」として相手ドライバーに謝罪させているのを見て、日本から世界チャンピオンは出ないだろうなと思いました
煽り運転した選手はぶつけた訳ではなく両者とも完走し何事もなくレースは終了していました
日本以外のレースで「追い抜かなかった」事でドライバーが叱責される事は多いが、日本はレースなのに煽り運転をした選手を相手に謝罪させる
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