ミャンマーの民主化は起きそうもない

ミャンマー軍事クーデターから2年
ミャンマーでは2021年2月1日に軍がクーデターを起こし政権を掌握、軍事政権を樹立しました
というよりもミャンマーが軍事政権でなかったのは最近50年ほどの中で2016年3月から2021年1月までの5年間に過ぎなかった
イギリスの統治と日本軍による占領独立、イギリスによる再占領と独立運動を経て1948年にビルマ連邦共和国が建国された
建国時のビルマは反ファシスト人民自由連盟の一党独裁で、アメリカとも中国とも友好的で1958年には軍人のネ・ウィンが主導権を握った
1962年にネ・ウィンがクーデターを起こして軍事政権が樹立、2010年にミャンマー初の総選挙が実施されるまで一度も複数政党による選挙は行われなかった
2008年の国民投票で憲法改正され2010年に初の複数政党制による選挙が実施されたが、軍が最初から議席の25%を保有する方式だった
軍事政権が議席の一定数を「キープ」する方式はタイの軍事政権も導入していて、民主主義のふりをしたい軍事政権に好まれている
2010年の選挙では軍事政権の連邦団結発展党USDPが全議席の75%を得る圧勝だったが、投票や集計で不正が行われたと指摘された
続く2015年の選挙ではアウンサンスーチーの国民民主連盟が上下院合計の86%を得る圧勝だったが、家族に外国籍がいる者は憲法で大統領になれない
この選挙でも軍事政権が議席の25%を占めていて国民民主連盟が獲得したのは選挙枠の86%で、全体の約64%に過ぎなかった
ミャンマーの憲法改正には国会の4分の3以上の賛成が必要なので、軍人議員が反対する憲法改正は絶対にできないようになっている
アウンサンスーチーは「大統領より上の存在になる」「大統領は傀儡に過ぎず自分が全て決める」と言っていたがこれが後に軍事政権に利用された
ミャンマーは民主化しない
2021年2月にミャンマー軍はアウンサンスーチーを逮捕し「許可されない携帯電話の利用」「不安や恐怖を煽った」などの罪で服役33年の判決がでている
国民民主連盟の失敗は軍を指揮下に置くことができず、軍を味方につけることもできなかったので予め準備されたシステムによって再び軍事政権に戻った
2021年のクーデターで重要な役割を果たしたのが中国で、表向きミャンマーに介入していないがいち早く軍事政権を支持し外交や経済で支援している
東南アジアの国々は主体性に乏しいので世界情勢に流されやすく、日本軍が勝てば日本、アメリカが勝てばアメリカ、冷戦時代は米ソに別れソ連崩壊後は民主主義国になろうとした
中国の成長が著しくアメリカを超えるように見えたので、ミャンマーは親米から親中にバスを乗り換えたところです
こんな国なのでやがて中国が衰退すれば民主主義に戻る可能性があるが、それは数十年後かも知れません
ミャンマーの軍事政権が民主主義を鎮圧し欧米と対立するのは中国にとって都合がいいので、今後も軍事政権存続のために協力します
ミャンマー軍事政権はクーデターから2年経った2月1日、国営テレビで非常事態宣言を6カ月間延長すると発表した
これに伴って23年8月に予定されていた総選挙も半年間延期され、軍事政権が確実に選挙で勝てる状況でなければ半年後にまた延期するでしょう
軍事政権は1月31日の声明で、民主派が武装闘争を続けているのを非常事態宣言の理由として挙げた
近いうちにミャンマーの民主化は行われないだろし、民主化運動が成功することも無いでしょう
もしミャンマーが民主化するとしても『朝鮮”民主主義”人民共和国』のような民主主義を偽装する形になると予想します
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