航空機などがイージス艦の電波を受信することで探知距離や精度が無限に向上する

無限の探知距離を持つレーダー
初期のイージス艦のレーダーは最大600キロの探知距離を持つが最少は14キロ程度しかなく、使用条件によっては役に立たない事があります
600キロ探知できるのは障害物がない超高空をステルスではない大きな飛行物体が範囲内を飛んでいる場合で、大型の弾道ミサイルもこれに近い
だが対艦ミサイルはレーダーを避けるため海面1メートルから数メートルを飛行してくるので、探知距離は20キロにも満たない
イージス艦のレーダーは海面20mに設置されているのでその高さからレーダー波が届くのは約14キロ、もっと高くから見下ろすと海面に乱反射してしまいます
SPY-1は1973年から使用されている骨董品だが最新型を含む日本のイージス艦全てに使用され、現存する米イージス艦にも搭載されています
SPY-1は改良されて性能向上しているものの、アーレイ・バーク級フライトIII(建造中)からはSPY-6が搭載され完全に刷新される
SPY-6はレーダー出力が35倍以上で探知距離は3倍で消費電力は2倍、海軍によるとSPY-1レーダーよりも半分の大きさの目標を2倍の距離で探知できる
そうしたレーダー単体の性能よりも変化するのはネットワーク化で、今までは1隻のイージス艦の情報はその1隻しか利用できなかった
SPY-6に対応した艦船や航空機や地上施設は自軍のどのSPY-6が得た情報も利用でき、対空ミサイルを発射する事ができる
また電波を発信するレーダーを搭載していない航空機や船でも、イージス艦が発信したレーダー波を受信できる
これによってイージス艦より遥かに小型の船や戦闘機もイージス艦のレーダー波を受信する事で敵を探知できる
今までのレーダーは自身が電波を発信するので使用すると敵に探知されたが、SPY-6では中心となるイージス艦だけが電波を発信します
中国は性能より数で勝負
レーダー波受信だけを行う小さな船や航空機、将来的にはドローンも受信装置になり、受信装置から探知できる範囲の敵は丸見えになる
イージス艦のSPY-6によって得られた情報と人工衛星や航空機や地上施設で得た情報は統合され、今まで見えなかった物が見えるようになります
さらにこの統合システムは日本とアメリカで共有され、米軍が探知した中国軍の情報はリアルタイムで前線の護衛艦に伝わります
湾岸戦争で登場したステルスは1方向からレーダーを照射するから見えないので、多方向からレーダー波を照射すればどこかのレーダーに写ります
外洋を飛行する多数のドローンをレーダー受信装置として利用できるようになれば、ステルス機もレーダーで見えるようになります
日本のイージスシステム搭載艦いわゆる巨大イージスにも搭載されるし、新型イージス艦はSPY-1ではなくSPY-6に切り替わっていくでしょう
旧型のDDHしらね、はるなは就役から35年程度で除籍されているが、こんごうは1993年就役なので2028年には35年目でもう退役するタイミングです
イージス艦の建造には3年かかりその2・3年ほど前に予算化されるので、こんごう後継艦は今年か数年内に具体化すると考えられます
SPY-6が中国やロシアのシステムより圧倒的に優れているとしても、現存するSPY-1を換装できないので新型艦を建造するしかなく置き換わるまで数十年かかる(換装するより新造のほうがコストなどで有利)
中国は052D型駆逐艦と後続の052E型駆逐艦を10隻以上運用しイージス艦と称しているが内容は不明、航空機やミサイルの迎撃は可能と考えられている
性能はともかく中国は今後短期間に「中国製イージス艦」を何倍にも増やすと考えられ、日本が対応するには数を揃える必要が出てきます
ウクライナ戦争を見ると性能も大事だが数も重要で、「高性能だが弾がない」では対抗できません