日本はロボットで覇権を握ったが、それを維持できるかは別

ロボット産業の覇権を握った日本
日本の工業製品が世界一の座から陥落して久しいが、新たに王座についたのが日本のロボット産業で世界シェアの半分近くを確保している
国際ロボット連盟によると世界の産業用ロボットの45%を日本のメーカーが生産し、2位・3位・7位・8位・10位が日本メーカーとなっている
産業用ロボット4強は上からスイスのABB、2位が日本のファナック、3位が日本の安川電機、4位はスイスのストーリブだった
5位は中国美的集団傘下企業のドイツクーカ、6位はイタリアのコマウ、7位川崎重工業、8位ヤマハ発動機、9位中国瀋陽新松、10位日本のエプソンだった
2021年の産業用ロボット出荷台数は全世界で約55万台、市場規模は約2兆円で自動車産業60兆円の3%に過ぎないが毎年10%以上成長している
80年代から90年代にバブルによる人手不足と少子高齢化による人手不足を経験した日本は早くから自動化に取り組みロボットが普及していた
産業用ロボットの稼働台数は中国が100万台を越え日本は39万台、今後中国では急速にロボットが普及すると見られています
導入台数1位は中国の27万台で2位が日本の4万7千台、3位は米国で3万5千台、4位は韓国の3万800台で欧州は生産数で上位なのにロボットの導入は少ない
産業用ロボットの多くは歩いたり喋ったりせず、台座に据えられて溶接や組み立てや加工などの仕事を黙々とこなします
新型コロナの流行で衛生面や人手不足からロボットの需要が高まり、今後も2030年代まで毎年10%以上の成長が予想されている
2兆円の市場規模を50万台で割ると1台あたり400万円で、ロボットは高級乗用車と同じ程度の値段だとわかります
世界の市場規模は2030年代中ごろに10兆円に達すると予想され、人口減少に突入した中国で需要の増加が見込まれている
日本は覇権を維持できるか
ロボットは先端産業で波及効果が大きく、利益率が高くメーカーの株価も高いのが特徴で久しぶりに日本の得意分野になった
日本最初のロボットは1969年に川崎重工が発売した「川崎ユニメート2000型」で重量が1.6トンで可搬重量はわずか12㎏。価格は1200万円もした
日本の産業用ロボットは自動車産業を中心に導入され、トヨタや日産やホンダの工場で24時間自動車を生産し世界に輸出していた
今ウクライナに侵攻しているロシアは中国以外の上位メーカー全てと取引を禁止され、中国メーカーも日米欧の部品を使っているのでロシアは正規ルートでロボットを輸入できない
今時半導体など精密部品を手作業で組むのはあり得ないので、ロシアは精密機器や電子部品を生産する事もできません
ロシアの頼みの綱は中国だがその中国も日米欧から制裁されると打撃を受けるので、なかなかロシア支援に踏み切れないのが実態です
半導体が産業の米だとするとロボットは産業の手足と言ったところで、話題のナノ半導体などはロボットなしでは絶対に生産できない
今後日本のライバルとして台頭が予想されるのは世界最大の市場を持つ中国で、自動車や航空機のように国産化を進めると予想できます
欧州でロボット導入が遅れているのは謎ですが、今後アジアを中心に産業用ロボットは急成長を続けるでしょう